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【シミュレーション】中東・朝鮮半島「同時危機」という“悪夢”

2020年02月18日 公開
2023年12月27日 更新

古川勝久(国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員)

米国を中東よりもアジアに関与させよ

以上はあくまでも仮想のシナリオである。実際にはこうはならないだろう。それでも日本が考えておかねばならない課題はいくつかある。

まず、米国の国力は相対的に低下しており、同盟国の日本には外交・安全保障の両面でより積極的な役割が求められている。費用負担だけでなく、対外的軍事活動やインテリジェンス、宇宙・サイバーなど幅広い分野にわたり、米国はさらなる貢献を日本に求めている。

直近では、イランを巡る中東有事の際、有志連合への参加を要請されるだろう。日本はどう対処するべきか。

他方、日本は米・イラン間の仲裁者としてさらに注力せねばならない。中東情勢の緊迫化の回避は、中東産原油に依存するアジアにとって死活的に重要だ。

米国には中東よりもアジア地域に関与を深めてもらう必要がある。日米の最重要の戦略的課題は中国のはずだ。

北朝鮮政策を巡り、日本と米韓とのあいだの「温度差」が顕著になるかもしれない。トランプ大統領が米朝合意を急いだ場合、日本はどこまで彼を合理的に導けるだろうか。

短・中距離弾道ミサイルの廃棄や日本人拉致問題については、米国にあまり高い期待を抱くべきではないだろう。日本が指導力を発揮して解決への道筋を描く必要がある。

北朝鮮の非核化や朝鮮戦争の終結、国連制裁の解除手順等についても、日本はいくつかのシナリオを想定して米国と具体的に詳細を協議する必要がある。

北朝鮮は「正面突破戦」をスローガンに、国連制裁レジームとの長期戦に備えている。日本にも北朝鮮と粘り強く渡り合う覚悟が必要だ。

東京オリンピック・パラリンピックを迎える日本にとって2020年は正念場になる。

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