2020年01月13日 公開
2020年01月16日 更新
孔子学院が「中国の実態を隠して、都合のいい姿だけをアメリカ社会に流布させるという危険な役割を担っている」として米政府が2018年2月に捜査に乗り出したのは、その行動に強い疑念をもっているからだ。
そして米議会も国際的な人権NGOであり、世界中の90カ国で人権の状況を監視しているヒューマン・ライツ・ウォッチも、2年間の調査で、中国政府の圧力がアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパの大学で学問的自由を損ねていることを確認している。
そして19年3月「海外での学問的自由を損なう中国政府の活動への抵抗」という提言を発表して、警告を発している。
「中国政府が、学問的自由に対する制限を国境を越えて行おうとしていることが判明した」としたうえで、すべての高等教育機関が行うべきものとして12の提言を行っている。
孔子学院を拒否すること、大学内における中国政府の干渉を徹底的に排除して学問の自由を守ること、妨害行為を各大学で厳しく監視すること、中国政府と関連した組織を監視すること、中国政府からの資金提供の実態を完全に明らかにすること、中国から来た学者や留学生に学問の自由を確保することなどがその柱で、中国からの侵害を完全に打ち破ろうという強い姿勢を打ち出している。
それまでも中国の行動に監視の目を光らせていたフロリダ州選出のルビオ上院議員は2018年2月、フロリダの5つの大学に中国政府との契約をやめるよう求める書簡を出した。
8月にはトランプによる国防権限法が成立。そして北フロリダ大学は、19年2月に孔子学院を閉鎖することを決めた。だが、それで状況は一気に転換するかどうかはわからない。
トランプ大統領の娘であるイヴァンカ・トランプ補佐官の娘が、春節の際に中国大使館で中国語の歌を披露したように、これまで10年以上にわたって拡大してきた孔子学院と500を超える孔子課堂は、アメリカ社会に一定レベルで浸透している。
17年に全米学者協会(NAS)は孔子学院の閉鎖を求めたが、それに対して従わない大学も多く、18年から19年に閉鎖を決めた大学があっても、19年4月現在まだ105校存在し、大きく減っているわけではない。
中国のシャープ・パワーが手をつけられなくなるほど拡大するぎりぎりのところで、アメリカはそれを阻止する行動を取った。しかしながら、それは最悪を免れたにすぎない。アメリカの情報・文化覇権は大きく揺らいでいる。
更新:11月22日 00:05