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中国・韓国の“嫌がらせ”から日本を守る「唯一の武器」

2019年11月15日 公開
2024年12月16日 更新

倉山満(憲政史研究家)

倉山満

憲政史研究家の倉山満氏は、自著『ウェストファリア体制』にて、今こそ日本は16世紀オランダの法学者、フーゴー・グロティウスの思想に学ぶべきと提唱している。

教皇、皇帝、国王、貴族という一握りの特権階級が支配者だった頃のヨーロッパの人々は「人殺し」に明け暮れていた。この「国」という概念すらない16世紀に生まれながら、「戦争にも掟(ルール)がある」という英知を著す信じ難い学者がグロティウスである。

彼の思想はのちにウェストファリア体制として実り、国際法の原型となり、現在の外交情勢の礎となっている。

本稿ではウェストファリア体制を分かりやすく伝える倉山氏の新著より、ウェストファリア体制を学ぶことが「日本を守る武器」となる理由を語った一節を紹介する。

※本稿は倉山満著『ウェストファリア体制 天才グロティウスに学ぶ「人殺し」と平和の法』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです

 

「現代こそ野蛮」と言える理由

甚(はなは)だしい勘違いが蔓延しています。「古い時代よりも新しい時代の方が文明的である」との思い込みです。

少し歴史を調べれば、文明が退化した事例など、山のようにあります。その最たる例が、中世です。そもそも、古代・中世・近代の三区分は、西洋人が自分たちの歴史を説明するために考えた、便宜的な物差しです。

文明的なギリシャ・ローマが古代。キリスト教の公認と国教化によってローマ帝国の文明が廃れた暗黒の世紀(Dark Age)が中世。ルネサンス(再生)によって文明が回復してからが近代、です。

この一事を以てしても、歴史が常に発展するわけではない、という厳然たる事実は一目瞭然だと思います。

この意味での中世など、日本には存在しません。同時に、ルネサンスも必要ありません。むしろ、旧ローマ帝国の版図だった国以外の歴史には、古代だの中世だのは何の関係もない区分でしょう。

しかし、近代は違います。現代、地球上のすべての国はつながっています。世界は一つなのです。「自分は、グローバル化は嫌いだ」と言っても、今さら鎖など不可能です。

少なくとも、我々日本人は、外国との関わりなくして生きていくことはできません。

こうした現代の秩序、「近代」を世界中に押し付けてきたのが、ヨーロッパ人です。現代世界の三大国は、アメリカ・中国・ロシアですが、この三カ国ですら、かつてヨーロッパ人が作ったルールの上でプレーヤーを演じているにすぎないのです。

『ウエストファリア体制』では、このルールの成り立ちと変容、なぜそのようなルールが必要とされ、どのように世界に広がり、そして今に影響を与えているかを解説しています。

そのルールは「ウェストファリア体制」と呼ばれます。別名は「文明国の通義」、「マトモな国ならば守るに決まっている掟(ルール)」のことです。

最初に結論を言います。千年を超える暗黒の中世を克服したヨーロッパ人は、後に「ウェストファリア体制」と呼ばれる掟を確立します。

そして、これを全世界に押し付けました。ヨーロッパ人の力が衰えるとともに、非ヨーロッパの国である、アメリカ・ソ連(ロシア)・中国が台頭し、掟そのものが変容します。大きく歪められているけれども、掟そのものは残存しています。

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