2019年11月22日 公開
2022年07月08日 更新
文在寅政権の「官製反日」政策にもかかわらず、韓国でベストセラーになった李栄薫氏(ソウル大学元教授、落星台経済研究所所長)の編著『反日種族主義』。過去にこだわり、賠償請求を繰り返す精神の腐敗はなぜ終わらないのか。韓国を代表する知識人2人が問題の根本を正す。
※本稿は『Voice』(2019年12月号)李栄薫氏&洪ヒョン氏の「低級な物質主義を克服せよ」より一部抜粋、編集したものです。
【洪】『反日種族主義』は韓国人に厳しい本です。しかし必要な本です。たとえば李承晩大統領を文明史の次元で評価し、紹介した本は、私の知るかぎり日本では本書が初めてです。日本でも李承晩と韓国の精神史に対する議論が起きるのではないか、と予想します。
【李】本書のエピローグに李承晩大統領の話が詳しく出ていますが、日本語版の序文では、李承晩大統領について簡略に書きました。
多くの日本の方々が、李承晩を「反日民族主義者」と思っています。「李承晩は反日主義者なのに、なぜ李承晩学堂が『反日種族主義』を批判する本を出したのか」という点が理解し難いだろうと思い、李承晩を評価する理由を書きました。要約すると以下のとおりです。
まず、韓国は1945年8月の解放、建国後も国民の大半が文盲で、人口の3分の2が小農社会の構成員でした。国民を一つの政治的統合体へと秩序をもって統合しなければならない時代状況だったため、国家主義や民族主義のイデオロギーが不可欠でした。
次に、李承晩大統領は「日本は韓半島に残してきた財産を取り戻すために戦後、再び韓国へ来るはずだ」と考えました。そこで急いで海軍を育成し、海軍が困難なら商船でもいいので数多く建造せよ、と語ったほど、日本を警戒していました。
日本が1956年、ソ連と国交を回復し、在日韓国人を北韓へ送還するのを見て、李大統領の日本への不信はますます強まります。
そうした状況で米国は、日本をアジア防衛の軍事拠点とし、経済的復興を積極的に支援しました。韓国に対しては、日本と仲良くしながら農産物や水産物を日本に輸出し、工業製品を輸入する経済的関係を保つよう要求しました。
そこで李承晩大統領としては、韓国が軍事・経済的に再び日本に従属させられる危険性があるため、米国の政策に反旗を翻しながら、経済的に日本から独立した国民国家の経済を追求するため、日本との摩擦や軋轢を意図的に大きくするしかなかった。当時の内外の政治的状況のなかで政策の合理性を理解すべきだと思います。
しかし、李承晩は基本的に自由主義者であり、自由通商主義者です。将来の韓国が日本と協力し、自由通商の時代を開く未来を否定したわけでは決してありません。
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更新:11月22日 00:05