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ここに来て韓国内では、曹国法相辞任をきっかけに「反日」よりも「反文在寅」の声が高まっているが、そうなればなるほど、文在寅政権が国民の目を国外へと逸らすため、さらなる「反日」を仕掛けることも予想される。しかし、韓国の経済および政治に明るい二人は、いま起きている問題を日韓関係だけを考えて解決することは、間違いの元だと指摘する。
※本稿は、室谷克実・渡邉哲也著『韓国経済はクラッシュする』(悟空出版)より、一部抜粋・編集したものです。
【室谷】 アメリカは、日韓の輸出規制をめぐる問題では冷静というか、原則的な立場を繰り返しました。「日本は自由貿易の原則に反している」などという韓国側の「哀願」に近いSOSにもかかわらず、介入、仲裁の意図は見せなかった。
しかし、GSOMIA(秘密軍事情報保護協定)の延長には、事前に韓国側に対して十分釘を刺し、注意深く誘導していたのに、破棄され韓国に顔をつぶされた形になった。
そして日本のせいだ、アメリカとは関係ないと言い訳した韓国政府には、はっきりと「失望」して見せた。その温度差の背景をしっかり考えてみる必要があるでしょうね。
【渡邉】 まったく、そのとおりです。つまりアメリカは決して日韓の輸出管理強化に関心がないわけでなく、意図があって関心を示さないことにしていた可能性を検討する必要があると思います。
【室谷】 日韓関係が悪化する前、韓国経済界の関心は、これまで自分たちを支えてきた半導体や家電、電子部品などが中国にキャッチアップされ、世界シェアを争うライバルとなって現れたことへの警戒感とともに、中国国内市場を失うリスクを強く意識したものでした。だから、よりイノベーションを進めなければならないと。
【渡邉】 ところが米中貿易戦争によって、その景色は一変しました。あらかじめまとめると、アメリカは、自国を中心に信頼できる同盟国のあいだだけでサプライチェーンを再構築しようとしていて、そこから様子が疑わしい韓国を除外すべきかどうかという視点こそが、クリティカルな問題だと思います。
日韓の対立の行方は、その流れのなかでおのずと決まっていくと考えればわかりやすい。
【室谷】 中国を中心としたいわゆる「レッドチーム」と、アメリカ同盟国組とのあいだに、かつての対共産圏規制、ココムのようなものを改めてつくるということですよね。
【渡邉】 アメリカ同盟国側に台湾を入れて考えると、より明確になります。台湾は、今後の選挙の結果にもよりますが、香港情勢の混乱ぶりを見ても中国共産党との一国二制度などという誘いには乗れませんから、今後も対立は避けられない。
しかし自力では経済的にも軍事的にもいかんともしがたいために、アメリカやその同盟国と、より明確な形での関係強化を求めている状況です。
【室谷】 それに対して、文在寅政権は、自分たちの国内の争い、日本に対しての政治的な正しさを追い求めるためなら、日本はおろか、アメリカに文句をつけることをも恐れていない。GSOMIAでそれがはっきりした。
【渡邉】 ならば、自ら「竹のカーテン」の向こう側に出て行く韓国を、いまさら優遇する必要などないし、むしろしてはならないことになります。
高い関税をかけるなり、革新素材や生産機械の輸出をコントロールするなりして、ついでにアメリカ同盟国側がこの際シェアを奪ってしまえということになります。
半導体、自動車、造船、パネル、鉄鋼……そうしたサプライチェーンから韓国を除外し、世界景気の悪化に対する調整も行える。あとは中国側とよろしくやってくれ、自発的にその道を選んだのだからもう知りませんよ、ということです。
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更新:12月27日 00:05