2021年11月24日 公開
2022年07月11日 更新
習近平による再共産主義化のプロセスにおいては、ゲーム、カラオケ、映画などの娯楽分野も、IT企業に関する制約も当然行なわれる。地域で言えば、香港においても表現に関する規制、検閲も含め、強化されることが決定。民主化運動を肯定的に描いた作品など、過去の映画も放映禁止が決定した。
マンガ『キン肉マン』にラーメンマンという辮髪のキャラクターが登場したが、辮髪は漢民族の風習ではない。チャイナドレスも中華民国の時代に考えられたもので、ルーツは満州人の民族衣装で漢民族のものではない。
そういう不都合な事実が明らかにならないように、キャラクターがいつのまにか人民服に着せ替えられるなど中国政府にとって望ましい加工が勝手に加えられる。著作権なんて無視である。
これが焚書の国のやり方で、日本ではおよそ考えもつかないことが平然と行なわれる。こうしたやり方に中国でも「おかしい」と声を上げるまともな神経を持った人はいる。
2020年10月24日、上海で行なわれた金融フォーラムで、アリババの創業者ジャック・マー(馬雲)が「時代錯誤的な政府規制が中国のイノベーションを窒息死させる」と批判するスピーチを行なった。この直後に同氏は行方不明になり、アリババは北京政府の目の敵にされた。
これがきっかけで同年11月に予定されていたアリババ傘下のアント・グループの上場が延期されたと見られている。アント・グループは当初、自社サービスの「アリペイ」をアメリカで上場しようとしていた。アリババ自体はアメリカで上場しているから、子会社もアメリカで上場しようと考えたわけだ。
しかし、アメリカ側の規制も厳しくなっており、中国側の規制も厳しいため、香港での上場に切り替えた。中国側の要請もあったと言われているが、香港、上海の二重上場を試みた。
アントが上場すれば4兆3000億円程度の上場益を得られると言われていたが、上場3日前に当局から上場を停止された。これはアリババグループに対する制裁と考えるの通常の思考だろう。
その後、アントはアリペイなどの決済分野と、消費者金融、カードローンなどのその他の金融分野に分割された。そのうえで、国が関与する信用調査会社との共同運営が決まった。信用情報の国有化である。アリペイはテンセントのウィーチャットペイなどと同じ運命をたどったわけだが、こうした圧政は今後さらに強化されるだろう。
更新:11月23日 00:05