2019年07月17日 公開
2022年07月08日 更新
写真:吉田和本
アメリカとイランの関係が緊迫している。両国の仲介を試みるために安倍首相がイランに乗り込んだ折には、日本のタンカーが攻撃を受け、「安倍外交の失策」との声も聞かれた。一方で同志社大学の村田晃嗣教授は、「安倍仲介外交の可能性」を指摘する。トランプ大統領が日米安保破棄に言及したといわれ、シーレーンの自国防衛についての発言も物議を醸すなか、令和の日本がとるべき積極外交を提言する。
※本稿は月刊誌『Voice』(2019年8月号)、村田晃嗣氏の「トランプ再選のシナリオとプロレス外交」より一部抜粋・編集したものです。
アメリカと中国の対立はたんなる貿易摩擦ではなく、長期的な覇権戦争である。厳しい国際情勢のなかで、米中の狭間に立つ日本はいかに対応すべきだろうか。
まず、アメリカ社会の大きな変化を考えれば、東海岸と西海岸だけでなく、アメリカ全土に幅広くきめ細かに政治的・経済的・文化的ネットワークを構築していかなければならない。
アメリカの州や自治体は、環境問題などで連邦政府と異なる立場を明確に取る場合がある。また、いわゆる従軍慰安婦像の設置問題も、しばしば地方都市を舞台にしている。
現在、日米両国間には440もの姉妹都市関係がある。かつては文化交流的なものが中心だったが、近年では日本の自治体も経済関係に力を入れている。
成熟した市民社会を擁する両国の関係として、こうした政府以外のパラ・ディプロマシーをいっそう充実させていかなければならない。これは令和の日本外交の課題の1つであろう。
また、エスニシティーや宗教、ジェンダーの多様性についても、敏感な令和の日本でありたい。いまの趨勢が続けば、2060年には日本でも外国人が人口の1割を占めるのだという。
更新:11月22日 00:05