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「アメリカを偉大なままに」 トランプ再選に有利な4つの条件

2019年07月09日 公開
2022年07月08日 更新

村田晃嗣(同志社大学法学部教授)

村田晃嗣写真:吉田和本

アメリカでは来年11月3日に大統領選挙が行なわれる。トランプ大統領が出馬を表明し、民主党からはすでに20名以上が名乗りを上げている。アメリカ政治に詳しい同志社大学の村田晃嗣教授は、現在トランプ再選に有利な4つの条件が揃っている、と指摘する。「トランプ旋風」は続くのか。世界に大きな影響を与えるアメリカ大統領選挙の情勢を徹底分析。

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年8月号)、村田晃嗣氏の「トランプ再選のシナリオとプロレス外交」より一部抜粋・編集したものです。

 

次期大統領選挙をめぐる有権者の矛盾した心理

2020年11月3日――アメリカの内政と外交は、この日に向けて収斂しつつある。次期大統領選挙である。

去る6月18日には、ドナルド・トランプ大統領がフロリダ州オーランドで出馬を表明した。「アメリカを偉大なままに(keep America great)」が標語である。

フロリダは激戦州の1つで、26~27日にはマイアミで、民主党の大統領候補者たちによるテレビ討論会も行なわれた。

周知のように、アメリカの大統領選挙では、共和党の優位な州(レッド・ステート)と民主党の優勢な州(ブルー・ステート)が、あらかじめ判明している。

それ以外の激戦州を、赤と青のあいだを揺れ動くという意味で、スイング・ステートという。フロリダ、ペンシルベニア、オハイオ、ミシガン、ノースカロライナ、バージニア、コロラド、アイオワ、ネバダの諸州である。

2016年の選挙では、フロリダ、ペンシルベニア、ミシガン、オハイオなどで、トランプが民主党のヒラリー・クリントン候補に競り勝った。

次期大統領選挙をめぐっても、すでにさまざまな世論調査が行なわれている。それらによると、スイング・ステートの多くで、トランプの支持率はかなり低下している。

とくに、選挙人割り当て数の多いフロリダやペンシルベニア、オハイオ、ミシガンで負ければ、トランプは再選を果たせない。

また、ニュージャージーのモンマス大学が5~6月に行なった調査では、トランプは再選されるべきとの回答は37%にすぎず、再選されるべきでないとの回答は60%に達した。

なにしろ、トランプ大統領の支持率はほぼ40%前半にとどまっており、過半数を超えたことは一度もない。ちなみに、統計が残っている限りでは、歴代大統領の平均支持率は53%である。

ところが、CNNテレビが行なった調査では、成人の54%がトランプは再選されると考えている(再選されないとの意見は41%)。

再選されるべきではないが、おそらく再選されるだろう――有権者のこの矛盾した心理はどこから生じているのか? 

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