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北朝鮮が「変則軌道ミサイル」の開発を続ける真の理由

2023年10月12日 公開

高橋杉雄(防衛研究所防衛政策研究室長)

 

北朝鮮の最大の目的は、現体制の維持

では、北朝鮮は本当に南進するのでしょうか。多くの人が一番関心を寄せるポイントでしょう。ですが実のところ、この問いに対して明確な答えを用意することはできません。戦争開始までのチェックリストが満たされれば即開戦というものではないのです。

北朝鮮としては、まず核戦力がすべて完成して、その上で「勝てる」と思ったとき、ということになるでしょう。金正恩がどのタイミングで決断を下すのかは、彼以外の誰にもわかりません。そもそも、北朝鮮が本当に南進まで考えているのかどうかも不明瞭です。北朝鮮からすると、米韓同盟は本当に怖い存在なのです。

北朝鮮にソウルを火の海にする能力があるとすれば、同時に「米韓同盟は北朝鮮の戦力を先制攻撃で撃破する可能性が高い」と考えるかもしれません。場合によっては、「核兵器を使って撃破するつもりかもしれない」と北朝鮮が考えてもおかしくありません。

核兵器を使われて壊滅するのを防ぐためには、我々にも核抑止力が必要だ、という発想で核兵器開発に邁進しているのかもしれないのです。北朝鮮側が米韓同盟の北進シナリオを恐れているというのは、1つの留意点でしょう。

とはいえ、金正恩にとっては今の体制が続くのが一番の目標でしょうから、どれくらい南北の武力統一を本当に狙っているのかはわかりません。

プーチン大統領がウクライナを吸収しなければならないと強く思っているのと同様に、韓国を吸収しなければいけない、あるいは吸収できると思っているのかどうか、誰も断言できないのです。

 

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