2022年03月02日 公開
2023年03月30日 更新
なぜプーチン大統領は、このような強硬手段に出たのでしょうか。
それは、プーチンが強烈なロシア・ナショナリストであることで説明がつきます。彼がやろうとしていることは、「強いロシア」の復活です。
ロシア人が好む強い指導者は、3人います。帝政ロシアのピョートル大帝、ソ連のスターリン、それにプーチン大統領です。
スターリンは、自国民を大量に粛正した独裁者として悪名高い人物ですが、ロシア人にとっては「ヒトラーの侵略からロシアを守った英雄」でもあったのです。スターリン時代はソ連の領土も広く、バルト三国、ウクライナ、ジョージア、アルメニア、さらにはカザフスタンやウズベキスタンなどの国々も支配下に置いていました。
これらの領土を奪い返すことができれば、ロシアは過去の栄光を取り戻すことができる。プーチンはそのように考えて、対外的に強硬な姿勢を崩さないのだと考えられます。
そして多くのロシア人も、プーチンの強いリーダーシップを支持しています。滅ぼし、滅ぼされ、を繰り返してきた大陸民族のメンタリティーは中国人とも共通するところがあり、日本人のような海洋民族の理解を超えています。
プーチンと習近平とは、「同床異夢」の関係です。習近平がぶち上げた「一帯一路」計画は、チャイナマネーでユーラシア諸国を懐柔し、中国の影響下に置こうとする新たな帝国主義です。
その中には、カザフスタン、ウズベキスタンなど旧ソ連邦の「裏庭」とも言える中央アジア諸国やウクライナも含まれます。中国企業がこの地域の資源開発を進め、パイプラインを敷設すれば、もうロシアから石油やガスを買う必要はなくなります。
中国は兵器の国産化も急ぎ、ロシア離れを進めるでしょう。
その一方で、「力による国境変更は当然」と言うメンタリティーでは、両者は共通しています。プーチンはウクライナを「歴史的にロシアと不可分の土地」と呼びました。習近平が台湾について「統一に向けて一切妥協しない」と発言しています。
西側諸国がウクライナを見捨てれば、これは習近平にとっての青信号となるでしょう。
更新:11月22日 00:05