習近平はこうした人々の慣れに乗じて漁船団を使い、軍事建設のための機材や機械を尖閣列島に運びこもうと考えている。アメリカ海軍の首脳は私にこう言っている。
「基地をつくるためのコンクリートや鉄筋、さらに多くの機材は漁船によって簡単に尖閣列島に運び込むことができる。日本もアメリカもそして世界のあらゆる国際機関も尖閣列島に、中国を監視、監督するための機関を置いているわけではない。漁船を使って建築資材や建築のための機械を送り込むことは、きわめてたやすいことだ」
ビルの建築現場でも見られるように、巨大なクレーンをはじめ大きな機械は、小さな部品から成り立っており、分解して運べば、1トンに満たない小さな漁船でも簡単に運ぶことが可能である。
一方、中国は「海防軍」と呼ばれる日本の海上保安庁に似た海上警備のための組織とその艦艇を、尖閣列島周辺に常駐させており、その海防艦の通信技能やテレコミュニケーションの能力を使おうと考えている。中国側には、尖閣列島における基地づくりや、岩山をくり抜く作業を容易に手助けする科学的な手段が十分にあるわけだ。
習近平が考えている尖閣列島に対する基地づくりは、すべて秘密主義のもとに行われる不法行動であり、国際社会ではまったく認められないものである。しかし、そうした基地づくりによって結果的に、日本の国土を軍事的に占領してしまおうとしている。
習近平の攻勢はきわめて組織的に、秩序立って行われている。これは日本政府がはっきりとした対応策をとっていないからだ。
尖閣列島が日本のものであるのは、これまでも述べてきたように紛れもない事実であり、習近平としても否定しようがない。したがって、実力で奪い取ろうとしているのである。
習近平の実力を行使しての不法行為に対抗するためには、実力行使が必要となる。だが、この重要な点を、日本と日本政府は明確に認識していない。不法に実力をふるい、無法行為を働く者に対抗するには実力行使しかないという事実を、長いあいだの平和主義に毒された日本の人々は理解できなくなっている。
更新:11月22日 00:05