2020年12月15日 公開
【金田一】書くことも話すことも、突き詰めれば他者とのコミュニケーションです。その感覚を磨くには、質の高いものに触れるのがいちばんだと思う。
でも、音楽や芸術で“本物”を堪能しようとすれば、往々にしてお金や時間がかかります。ウィーン・フィルを生で聴こうと思ったら、オーストリアに行くか来日公演を待ち、チケットを買わなければならない。
一方で「お得」なのが読書です。書店に足を運べば、数百円の値段で最高の日本語に出合うことができる。鈴木さんはこの先の人生も長いですから、1つでも多くの本物の言葉に触れてもらいたいですね。
【鈴木】ありがとうございます。これからも、読書をライフワークとして続けていきたいと思います。私は本を通じて、家族や友人とのあいだで人の温もりを感じることができました。人が使い込んだ書物の“温度”は、やっぱり電子書籍では体感できません。だから私は、今後も紙の本を読んでいきますし、私よりも若い世代にも薦めていきたいです。
【金田一】読書は孤独な作業にみえるし、それが魅力の1つという人もいます。もちろん間違いではないけれども、同時に「自分は1人じゃない」と感じるきっかけにもなる。
「後生畏るべし」という言葉がありますが、若い方のほうが私たちの世代よりも、世の中をみる視点も感性も圧倒的に優れているでしょう。将来の日本で、鈴木さんのような若い世代がいろいろな言葉に触れて、新たな価値観を生み出してくれることを期待しています。
更新:11月25日 00:05