2020年10月25日 公開
2020年10月26日 更新
「乃木坂46イチの読書家」とも言われる鈴木絢音さん。読むジャンルは小説にとどまらず、冠番組では国語辞典の魅力を熱弁することも。そんな鈴木さんが読書に惹かれた背景には、家族とのある出来事があった――。国語辞典の意外な魅力とともに、この時代だからこそもつ紙の本の意味を語る。
※本稿は『Voice』2020年11⽉号より⼀部抜粋・編集したものです。
聞き手:Voice編集部(中西史也)
――鈴木さんはアイドルグループ・乃木坂46きっての読書家で、年間100~200冊も読破されるとうかがいました。読書との出合いはいつでしたか。
【鈴木】 小学生のころからよく本を読んでいました。父は読書好きでしたし、母は週に一度は私を図書館や書店に連れていってくれました。
書店に行けば一冊は自由に買っていい。それが鈴木家のルールだったので、自然と本に触れ合える環境でした。
――当時はどんな本を読まれていたのでしょう。
【鈴木】 小学校高学年までは絵本ばかりを読んでいましたね。『ヘレン・ケラー』とか、偉人の伝記が好きだったんです。あとは当時から図鑑にも興味があって、お気に入りの飛行機の図鑑はいまでも本棚に置いてあります。
――学習意欲が高かったのですね。
【鈴木】 いえいえ(笑)。好奇心は旺盛なほうかもしれませんが、私は深く突き詰めるよりも、浅く広く関心をもつタイプな気がします。図鑑は文字や絵が綺麗に整理されているのが魅力で、デザインとしても楽しめます。
――テレビ番組の企画で、国語辞典の魅力について熱弁されている姿がとても印象的でした。なぜ辞書に興味をもったのでしょう。
【鈴木】 「これでもか」というくらい、情報がふんだんに詰まっているところに惹かれました。
中学、高校と進学するにつれて電子辞書を使う機会が増えたのですが、高校2年生のときに転校して上京するタイミングで、それを兄にあげたんです。
でも、あとで「やっぱり勉強に必要かな」と思い直して、紙の国語辞典を数冊手に取って読み比べているうちに、すっかりハマってしまいました。
――具体的には、辞書ごとにどんな違いがあると感じていますか。
【鈴木】 「乃木坂工事中」というグループの冠番組でも紹介したのですが、『三省堂国語辞典』(三省堂)は語釈が客観的で簡潔なのに比べて、『新明解国語辞典』(同前)は主観的で詳細です。
たとえば『新明解』で「蛤(はまぐり)」を引くと、「遠浅の海にすむ二枚貝の一種」という説明のあとに「食べる貝として、最も普通で、おいしい。殻はなめらか」と出てきます。
辞典を編んだ方の主観や好みがところどころに表れる。簡素なように見えて「人間味」を味わえるのが国語辞典の魅力です。
更新:10月09日 00:05