2020年05月20日 公開
――オンライン配信が進んだとしても、舞台や映画館でのリアルな体感を求める人は少なくないでしょう。
【堀】 元来、舞台役者はお客さんの拍手をもらって伸びていくものです。観客がたくさん入った、拍手を受けた、スタンディングオベーションが起きた――。そういった体感を得て演者は成長していき、観客に還元されていくんです。
――著書『これだけ差がつく!「感じる人」「感じない人」』(PHP研究所)でも、リアルな体験や感情の揺れによってクリエイティビティは培われる、と述べられていますね。
【堀】 活字やオンラインでも情報としての確認はできるけれど、感情の揺れは伝わりにくい。
配信においてもリアルタイムでコメントをもらえる人はいいですが、作品を演じる人たちにとって、文字のコメントだけでは得られないものがあります。
劇場公演は「生き物」です。お客さんの反応を見て翌日の演出を変えることもあります。アーティストのライブやスポーツの試合でも同様でしょう。
野球でいえば、同じピッチャーとバッターの対戦でも、毎回違った結果やドラマが生まれる。まったく同じものを二度と再現できないところが、生の醍醐味だと思います。
――堀社長は未曾有の危機と向き合う経営者でありながら、プロデューサーでもあります。現在の活動の原動力は何でしょう。
【堀】 「どこかでお客さんが待っている」と思い続けることです。笑いたい人がいれば楽しみを、泣きたい人がいれば感動を提供する。
舞台や映画、ドラマにしても、それを見て「明日も頑張ろう」と感じてもらえる作品を届けたい。お客さんが喜ぶことをやる。それこそが、こんな泥臭い仕事に私が人生を懸けている理由です。
更新:10月30日 00:05