2020年01月28日 公開
2023年04月17日 更新
昼食休憩の時間にビルの外へ出ると、さっき教室で前の席に座っていた中国人男性が目の前を歩いていた。見た所、私と同じ30代半ばぐらいだ。ジージャンにスニーカーというラフな服装をしている。
「お疲れ様です。ずっと座っていると疲れますね」
適当に挨拶して声を掛けた。名前は張さんという。来日して14年になり、永住権も持っているそうだ。
「せっかく授業受けてマスカラ、合格したいデスネ」
抑揚がどこかぎこちなく、機械がしゃべっているような独特な中国訛りがあるものの、「日本語ペラペラ」と言えるレベルだ。一緒に昼食を取ろうかとも一瞬思ったが、張さんは豚骨ラーメン屋に行くというので、私の好みに合わずやめた。昼から豚骨ラーメンはちょっと重たい。
張さんとはその翌日の授業でも会い、休憩中に雑談した。
「今は旅行ガイドの仕事やってるんですけど、一応資格もあった方がいいかなと思って受けてるんですよ」
すでにガイド経験があるという。法律上はグレーゾーンの"闇ガイド"ということになるのだろうが、先述の通り、中国人観光客が押し寄せてきているのに、「通訳案内士」の数が圧倒的に足りないのだから、仕方がない気はする。
実地研修では、日本人講師に引率されて皇居や浅草寺、東京駅の新幹線乗り場などを見て回った。
二重橋の歴史や浅草寺の由来などをかなり細かくガイドしてもらい、その暗記力にはさすがと思ったが、どれもネット検索すればすぐに分かる話。少々時代遅れに感じた。
その後のインターンシップもどうにか終え、あとは2カ月後の面接に備えるのみとなった。
このように、「ツアーガイド」と言う名の苦し紛れの資格を用いた爆買いツアーが平然と行なわれている現状に驚きを禁じ得なかった。
更新:11月22日 00:05