2020年01月05日 公開
2020年01月06日 更新
写真:吉田和本
本当にお客様が求めていることは何か――。人気寿司店「すしざんまい」を運営する株式会社喜代村では、寿司職人養成や寿司カルチャー普及のために、「喜代村塾」を開講している。木村清社長が語る、現代の職人のあり方から経営の秘訣がみえてくる。
※本稿は月刊誌『Voice』2020年1月号、木村清氏の「海賊だって人間だ」より一部抜粋・編集したものです。
聞き手:編集部(中西史也)
――会社の経営を考える際は当然、利益が問われると思いますが、木村社長はどう考えていますか。
【木村】 利益はあとです。利益を先に求めてやる人は、失敗するんです。人に喜んでもらうために何をしたらいいのか。お客様が食べに来てくれるから、利益は生まれる。
お客様の支持がなければ儲けも出ませんし、食べていくこともできません。だからお客様のニーズに合うものをやっていくしかない。
――ニーズを掘り起こすコツはあるのでしょうか。
【木村】 人が喜び、ビックリするものを考えることです。「こんなものがあったらいいな」というドラえもんの四次元ポケットの発想です。
――経営をするうえでは、社員との接し方も重要になると思います。
【木村】 一人の人間である以上、今日入った従業員も、10年いる店長も平等です。年齢も性別も関係なく、個の人間として接します。「おはようございます」と誰かが言えば「おはようございます」と笑顔で返す。
10年いる人が笑顔を出せて、今日入った人が出せないのか。そんなことはないですよね。生まれたときに泣き方を教わりましたか?「オギャー」と自然に大きい声が出るのと同じで、笑顔も自然と生まれるものです。
スポーツ選手でもデビューしたころは笑顔が出ていたのに、途中からなくなってしまうことがあります。「プロだからニタニタするな」と言う人もいますが、お客様へのサービスあってのプロなんですよ。
――寿司屋の職人は、笑顔を見せない寡黙なイメージがありますが。
【木村】 そんな偉そうに寿司を握って、お客様が喜ぶと思うのかと。たまにはそういうのがカッコいいなんて言う人もいるかもしれないけど、お門違いですよ。こちらは「握らせていただいている」んです。
更新:11月21日 00:05