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河野克俊&村田晃嗣 「タンカーを自国で防衛するのは当然」

2019年11月14日 公開
2022年07月08日 更新

河野克俊(第五代統合幕僚長)&村田晃嗣(同志社大学法学部教授)

安保条約を日米双方が「不平等」と感じる理由

河野克俊

【河野】 大統領就任前から日米同盟の不公平性について主張していたトランプ大統領に対して、日本政府は、日米同盟は不公平ではないと捉えています。

日米安保条約第5条で、アメリカは日本が武力攻撃を受けたときに防衛する義務を担っている一方、第6条でアメリカが日本に基地を置くことを認めているからバランスは取れている、という理屈です。

安保条約を結んだのは1951年ですが、当時はアメリカの占領軍が日本に駐留しており、自衛隊は存在すらしていなかった。その占領軍を在日米軍として合法的に位置付けたのが安保条約です。

1960年に岸信介政権下で改定されたとはいえ、日米安保条約は本来、日本の防衛をアメリカに依存する仕組みなのです。

【村田】 安保条約の第5条と第6条はよく「人と物との協力」といわれます。これは異質なもの同士の交換関係になっています。

アメリカは「一朝事あれば日本を守るために1000人、2000人の若者が血を流すことになる。われわれはどれだけのコストを払うのか」という感覚でしょう。

一方で日本は「戦後70数年間、有事はなかったではないか。その間、米軍基地施設を提供し、騒音と基地犯罪に耐えてきた。どちらの負担が重いのか」と感じている。

比べているものの質が違うため、こうした日米間のギャップが生じる構造になっています。

【河野】 日本では戦後一度も有事が起こっていないわけですが、戦争はないに越したことはありません。その点は、日米同盟が抑止力として機能していたと解釈するべきでしょう。

【村田】 おっしゃるとおり、日米同盟が機能していたと思います。ただ国民が等しくそれを感じているかといえば、そうでもない。万が一、日米同盟が破棄され、外国から攻められたときに初めて、日本人は日米同盟の有り難みを実感するでしょう。

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