2019年03月25日 公開
2022年02月28日 更新
安倍総理は現在、プーチン大統領との友好関係を深めることで北方領土問題の解決をめざしている。だが、2014年に領土クリミアをあっという間にロシアに奪われたウクライナ人のグレンコ・アンドリー氏は異なる考え方をもつ。新著『プーチン幻想』(PHP新書)より、その理由を明らかにする。
最初に言っておきたいが、筆者はウクライナ人としてではなく、日本を好きな人間の一人という立場から考えを書くこととする。ウクライナからすれば、日露関係がどうなろうが、日本がどのような対露政策を取ろうが、その結果、日本がどうなろうが、ほとんど影響がないからだ。
だから本稿において、筆者はウクライナ人というより、親日外国人、日本をよくしたいと思い、日本の復活・発展と繁栄を心から望み、自分の将来を日本と結びつけて考える人の立場から、安倍政権の対露政策について考えたいと思う。
さて、安倍晋三総理大臣は20回以上プーチンと会い、友好をアピールしているのだが、総理の目的は何であろうか。総理の言動から判断すると、それはロシアと友好関係を作り、領土問題を解決した上で日露平和条約を結ぶことである、ということになる。
一見もっともらしく映るが、じつは安倍総理の対露外交の本質を表す言葉は「対露軟弱外交」もしくは「対露国益献上外交」である。なぜなら安倍総理の政策は、ロシアが一方的に日本から利益を引き出すだけであり、代わりに日本が得るものは何もないからだ。
更新:11月24日 00:05