2019年03月13日 公開
2022年12月28日 更新
写真:吉田和本
昨今「AI(人工知能)」という文字を目にしない日はないほど、「第3次AIブーム」が到来している。ではそもそも、AIには何ができて何ができないのか。数多くの経済小説を手掛ける作家・幸田真音氏と、AIを使ったサービスを企業に提供するテンソル・コンサルティング株式会社の社長を務める藤本浩司氏が、人工知能の功罪、そしてデジタル時代における日本の未来を語る。
※本稿は『Voice』4月号、幸田真音氏&藤本浩司氏の「AIを知ることは人間を知ること」を一部抜粋、編集したものです。
【幸田】 私が今年2月に『人工知能』(PHP研究所)を上梓したのと同時期に、藤本さんも『AIにできること、できないこと』(日本評論社)を出されましたね。拙著は文字どおり人工知能(AI)を題材にした作品で、藤本さんには執筆にあたってお世話になりました。
【藤本】 いえ、こちらこそありがとうございました。
【幸田】 藤本さんとは、かれこれ20年以上の付き合いになります。
じつは、『人工知能』の主人公・新谷凱が働くITベンチャー企業のイメージモデルとなったのが、藤本さんが社長を務めるテンソル・コンサルティング株式会社です。
AIを使ったサービスを企業に提供するテンソルの活動は多岐にわたり、何度も取材させてもらいました。
【藤本】 テンソルでは、主に銀行やクレジットカード会社などの金融機関に対して、顧客の信用度を予測するAIを開発、提供しています。
当社の設立から10年以上が経ちますが、現在は「AI」の文字を見ない日はないほど話題になっていますね。
【幸田】 2018年は「AI元年」といわれるほど世間から注目されています。
私はもともとIT系の分野が大好きで、ハッカーを題材にした『マネー・ハッキング』(講談社)を1996年に、まだビッグデータという言葉もなかった2007年には『あなたの余命教えます』(同前)を書いています。
今回の『人工知能』の元となった連載を本誌『Voice』で始めた2015年ごろは、私が「題材は人工知能でいく」と言うと、編集者が皆「人工知能? 何それ?」という状況でしたが(笑)。
【藤本】 当時はAIといっても、一部の専門家や意識の高い人のあいだで注目されていたくらいで、一般の方には馴染みのないものでしたからね。
更新:11月10日 00:05