2018年12月14日 公開
2024年10月28日 更新
本サイト「藤原洋 第4次産業革命の時代に必要な三種の神器とは?」 に引き続き、藤原洋氏が、デジタル時代に必要なもの、GDPを倍増させる日本創生戦略を説く。※本稿は『Voice』2019年1月号、藤原洋氏の「ポスト平成のGDP倍増計画」を一部抜粋、編集したものです。
日本がこの20年間、GDP(国内総生産)が増えずに停滞してきた理由の1つに、大企業と首都圏への一極集中がある。「一億非総活躍社会」だったのだ。
私の会社も経団連の会員だが、経団連会員企業の従業員は就労人口の12%しかいない。ということは就労人口の88%は非加盟だ。12%だけが元気になっても意味がない。首都圏は経済規模の約半分、人口の3分の1にすぎない。
第2次産業の雇用が支えた高度成長の時代には、地方に多くの工場ができたが、人件費の上昇で競争力を失った。日本の工場は海外へ引っ越し、日本は工業社会から情報社会へ移行した。大企業と首都圏への一極集中が起こった理由は、この産業構造の変化だった。
今後は、産業政策以上にこの変化に適合する民間企業の事業転換が必要である。首都圏と地方、大企業とベンチャー企業が組み合わさるオープンイノベーションによる新産業創生がきわめて重要になる。
地方での新産業創生の起爆剤となるのがインバウンド(外国人の訪日旅行)だ。
フランスは、年間8500万人の海外旅行客を迎え入れている。長らく下位に低迷していた日本は、2015年の世界のインバウンド順位で16位の約2000万人になり、上昇基調に入った。これは、中国と韓国の経済発展によるところが大きい。
インバウンドの経済効果を試算すると、コンパクトカーを2台輸出するのと、外国人観光客3人を迎えるのとほぼ同等である。フランス製の車を買いたいという人はあまりいないが、フランス車5500万台の輸出と同等の経済効果をインバウンドによってもたらしているのだ。
日本も4500万人ほど外国人観光客が来日すると、3000万台の自動車を輸出しただけの経済効果をもたらすことになる。
また、日本のIoT市場の伸び率は人手不足が奏功して、世界トップの年平均15%で当分推移するものと見られている。
さらに、東京五輪パラリンピックに向けてのグローバルスタンダードを意識した、5G(第五世代移動通信システム)インフラ整備、スマートシティ、スマートホーム、スマート医療の整備が進んでおり、五輪後に当分野での本格的な市場成長が期待できる。
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更新:11月06日 00:05