韓国の文在寅大統領は6月20日、米紙ワシントン・ポスト(電子版)とのインタビューで、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意に関し「問題解決には、日本が法的責任を取り、公式に謝罪することが必須だ」と述べた。韓国の「本性」がついに現れてきたといえる。日本はいかに対応すべきなのか。
本記事は『Voice』2017年7月号、「経済停滞でまたも『反日』か」から一部、抜粋したものです
文大統領は就任後、安倍首相との初の電話会談で、慰安婦についての日韓合意を「国民は受け入れていない」と語りました。
一国の大統領ですら大局を判断せず、大衆の主張に流されてしまう。これが「国民情緒」に沿った政治的判断を行なう韓国という国なのです。
国民の情緒に合えば、法律や合意も平気で無効化してしまう韓国政治の特徴は、朴槿惠大統領弾劾の際にも明らかになりました。
今後も文在寅大統領は「国民が反対しているから、慰安婦合意を履行できない」と主張することが容易に想像できます。
そうはいっても、韓国は経済不況の問題を抱えており、対日関係を無視できない。就任早々、強硬姿勢に出ることは控えるはずです。
現に文大統領は就任後すぐ、「共に民主党」の文喜相議員らを特使として日本に派遣しました。
そして安倍首相との会談では、「シャトル外交」の再開を求める文大統領からの親書を渡しました。シャトル外交は小泉・盧武鉉時代から始まったもので、李明博政権まで続きましたが、朴槿惠政権で途絶えたものです。
朴槿惠大統領は歴代韓国政権のなかでは例外的に、発足当初から「反日」を打ち出しました。ほかの大統領はすべて、最初は日本への宥和的姿勢を見せながら、国内で政権に対する反発が高まると「反日」カードを切る、というパターンでした。
おそらく文政権のスタッフは、朴槿惠政権をじっくりと観察して、対日政策を練ってきたのでしょう。日本に対し、最初は穏やかな姿勢で臨んだほうが得策だと考えたのだと思います。
では、日本はどういう対応を取ればよいのでしょうか。
韓国最大の国内問題は経済です。長引く経済不況のどん底にある韓国は、どんな手を使っても日本からの援助・協力を引き出そうとするでしょう。具体的には、日韓スワップ協議の再開と軍事協力を求めてくるはずです。
しかし、そこで甘い顔を見せてはなりません。日本政府はこれまで韓国が緩やかに出てくると、譲歩に応じてしまう過ちを何度も繰り返してきました。
従北化する現在の韓国の本質は「反日」です。日本に緩やかな態度を示すのは最初だけであり、決して本心ではありません。
韓国に対する協力の前提条件としては最低限、「慰安婦問題に関する日韓合意の履行」を求めるべきです。日韓合意の履行があって初めて、援助・協力に向けた協議を行なうというかたちでなければなりません。
文大統領が選挙期間中に打ち出した経済政策は、雇用の創出や財閥解体など実現性に乏しいものばかりです。いずれ国民からの反発を招くのは必至で、支持率低下のタイミングで一気に「反日」の姿勢に転じる可能性が高いと思います。
更新:11月21日 00:05