2017年05月16日 公開
2017年05月17日 更新
こうした経営者の憤りや嘆きの声をよそに、厚生労働省は否が応でも「全面禁煙と飲食店の経営は無関係」にしたいらしく、同省ホームページ上の「受動喫煙防止対策強化の必要性他」でわざわざデータを並べている。
「【米国(ワシントン州)】規制導入後、バー、居酒屋の売上が増加」
「愛知県の調査(平成22年)では、自主的に全面禁煙にした店(1163店)の96%が、売上げが増加又は不変と回答」
「大阪府の調査(平成22年)では、自主的に終日全面禁煙にしている店(226店)のうち、売上げが減ったと回答したのは8%」
上の「社会調査のからくり」は、「自主的に全面禁煙にした店」という部分にある。「自主的に」禁煙にした店の回答者が、「たばこを禁止した自分のところは損をした」と答えたら、むしろ不自然だろう。
米国(ワシントン州)の例に至っては、唖然。原文の注釈にある「店舗数自体は増加しているため、個々の店舗の売り上げが増加していない可能性」を資料に入れていないのだ。
同じく厚生労働省が原資料から省いた「全小売店舗」の伸びを見てみると、対2004年比で126・4%(2008年)の高い伸びを示している。ところが、飲食店の売上高の増加は対同年比101%。店舗の増加率と比べて、むしろ禁煙にしなければ飲食店の売り上げがもっと上がっていた可能性のほうが高い。
他方で、興味深い世論調査のデータもある。FNN(フジニュースネットワーク)が行なった「政治に関するFNN世論調査」(期間=2017年3月18日~19日、対象=全国から無作為抽出された満18歳以上の1000人、調査方法=電話による対話形式)である。
質問は「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、政府は受動喫煙対策の強化を進める方針です。レストランや居酒屋などの飲食店を原則禁煙とする案と、『喫煙、分煙、禁煙』それぞれの表示を義務づけ、選べる案とでは、あなたはどちらの案がよいと思いますか」というもの。結果は下のとおりである。
ご覧のように、厚生労働省が推進する「原則禁煙とする案」は「喫煙、分煙、禁煙」を選べる案よりもずっと支持者が少ない。世の感覚からずれた、お役所独我論を振りかざすのも考えものだろう。
更新:11月23日 00:05