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マルキストは優越感に溺れた...日本で「共産主義」が流行った真の理由

2023年03月30日 公開

倉山満(憲政史家)

 

インテリを魅了する無駄な難解さ

日本の場合、マルクスの理論に当てはめて分析していくと、結構当たってしまうことがあります。たとえば鎌倉幕府の御恩と奉公などは、ヨーロッパ中世の騎士の忠誠心にかなり対応します。まぐれ当たりでも、重なれば説得力が生まれます。

マルキストが突きつける現実への矛盾は、確かにその通りでした。そして、「本当だ! そうか、これは全人類に通じる法則なのだ」と感じる人がいっぱい出てきていしまい、日本はマルクス主義者が威張り散らす国になってしまいました。

しかも使っている用語が無駄に難解で訳がわからないので、インテリを魅了するのです。普通の人は暇じゃないのでそんな用語なんか勉強しないのですが、マルキストのインテリはそういう用語を使いこなせることで自分たちは大衆とは違うエリートなのだと優越感に浸れる。

いちいち、「労働価値説」なんていまどき使い物にならない説を勉強する気にならないし、「ブルジョア」「自然必然性」「社会的有機体」「私有」「科学的」「生産」「歴史的条件」そして「資本主義」などの言葉に、マルクス特有の意味があるので、小馬鹿にしようものなら「君はわかってないねえ、勉強不足だよ」と偉い先生に上から目線で説教されるので、「信仰」は強化継承されていく訳です。

そんなマルクス主義を一言でまとめると、次のようになります。

世界中の政府を暴力革命で転覆し、地球上の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる!

何か異論がありますか? 世界中の共産主義者からの反論をお待ちします。何人いるか知りませんが。

 

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