2021年12月29日 公開
2024年12月16日 更新
ただし、もう一つ重要な側面がある。それは日本国民の損害許容限度である。
もし、日中両国が尖閣諸島をめぐって局地戦争を戦い、日本側に100人、中国側に200人の損害が発生し、戦争は日本が勝利して尖閣諸島を日本が確保した場合、200人の損害は中国にとっておそらく許容限度内であるのに対して、日本は100人の損害に国民が耐えられるだろうか。
もし、日本国民が100人の損害に耐えられなければ、日本は戦争に踏み切ることはできない。中国が200人の損害を覚悟して戦争すると日本を脅迫すれば、日本はたとえ局地戦争に勝利できるとしても、100人の損害を避けるために中国に屈服する道を選ぶだろう。
日本から尖閣諸島を奪取する戦略として、局地戦争は中国にとって負ける可能性があっても魅力的な選択肢である。
国際裁判の場合はどうか。中国は500年前の古文書を根拠にして尖閣諸島が固有の領土であると主張している。日本の主張は、1895年以来尖閣諸島を実効支配してきたという国際法上の権原(先占)が根拠である。
中国は南シナ海の島をめぐるフィリピンとの争いでも同様に古文書を根拠にして領有権を主張したが、2016年に仲裁裁判所は中国の主張を全面的に否定した。国際裁判で中国が勝利できる可能性は低い。
外交交渉はどうか。外交交渉は基本的にギブ・アンド・テイクであり、尖閣諸島をテイクするためには日本に何かをギブしなければならない。
尖閣諸島は中国固有の領土であると主張してきた中国政府が、元来自分のものである島を取り返すために日本に何かをギブすると説明しても国民は納得しないだろう。
領土や主権を何か別のものと交換することは政治的に困難である。固有の領土はギブ・アンド・テイクの対象にならない。
以上の状況を勘案すれば、日本から尖閣諸島を奪取できる最も可能性の高い戦略は局地戦争である。
したがって、日本が局地戦争を抑止し尖閣諸島を守るためには、日本人が正義のためには犠牲を恐れない勇気ある国民であることを明確なメッセージとして中国に伝えなければならない。
更新:12月27日 00:05