2021年11月28日 公開
2022年02月03日 更新
――教授のお話からも、BTSの音楽やコンセプト、またトランスメディアの面白さなどを通して、世界各地にARMYが生まれ、BTSを支える巨大な力となり、従来アイドルという文化がなかった欧米でも受け入れられ、メジャーなエンターテインメントになったのだと理解しました。しかし日本では「韓流は国策だ」という声もまだまだ根強いのですが、この点についてどうお考えですか。
【ホン】この件に関しては、遠回しにせずお答えします。韓流の成功は政府の支援によるものだという偏見を持たれる最大の理由は、ただのコロニアル(植民地的)な考え方です。
「韓国は少し前まで後進国だった。テクノロジーの進歩で半導体と造船業と車を輸出することまでは理解できるが、お前たちが文化を輸出するのか?」と。
日本の一部の方だけでなく、例えば欧米のエリートメディアの記者、批評家、学者、そして西欧の帝国主義的な態度を持つ南米のジャーナリストなどが、根拠なくそう信じています。彼らはファンダムの存在や文化的な背景を全く知らないのです。
韓国が文化産業を外へ送り出す国家予算を他国と比較しても、戦略的と言えるほど充実しているものではありません。例えば、SMエンターテインメントが2011年にパリで大規模コンサートを開催したとき、会場使用料をKOTRA(大韓貿易投資振興公社)が支援した程度です。
そうした印象を持たれる一因は、韓国政府がK-POPを利用してきたことにあります。韓国の在外公館等が、外交の一環として韓国文化の広報活動をするときに、自分たちは文化事業の支援を手厚くやってきたと強調してきたのです。もちろん国が努力してきた面も多々あると思いますが、それは世界すべての国が行っている外交事業の一つで、韓国だけが特別なわけではありません。
更新:11月24日 00:05