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初代デジタル監が明かす「日本のデジタル化を遅らせた完璧主義」

2021年11月22日 公開

石倉洋子(デジタル庁デジタル監)

 

デジタルという「言語」を身につける

――日本に活力を取り戻す根幹の一つとして、教育が挙げられるでしょう。たとえば、児童生徒向けに一人に一台の端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する「GIGAスクール構想」にもデジタル庁は関わっています。教育のデジタル化をどのように進めていくのでしょうか。

【石倉】先に述べたようにデジタルは一つの道具ですから、未来を担う子どもたちが活用できるように整備することは必要不可欠です。グローバルな舞台で活躍するためには英語のスキルが必須であるように、今後はデジタルという「言語」を身につける必要があります。子どもたちにとっての新たな武器の一つとなるでしょう。

昨今のコロナ禍の影響もあり、教育現場でもタブレットなどデジタル端末の利用が進んでいます。現状を踏まえたうえで、今後、いかにして教育のデジタル化を行なうべきなのか。

その答えを考えるために、デジタル庁では今年7月(当時は発足準備期間)、文部科学省などと共同で「GIGAスクール構想に関する教育関係者の皆様へのアンケート」及び児童生徒への「タブレットについてのアンケート」を実施しました。

総回答数は約26万(児童生徒約21.7万人、教職員・保護者約4.2万人)にも及び、「タブレットの操作が難しい」「学校や自宅の通信環境が整っていない」など貴重な意見を多数いただきました。我々はこうした課題一つひとつを真摯に受け止めています。

国の施策の方向性はデジタル庁のホームページに掲載しています。今後の施策についても随時、公表していくことに加え、タブレットや通信ネットワークといった環境の整備はもちろん、教育現場においてもデータの連携を進めていきます。

――教育においては、デジタル端末ではなく紙ベースのほうが習熟度が高まると主張する識者もいますが。

【石倉】もちろん、いきなりデジタルに総替えするわけではありません。紙とデジタル双方の利点を活かしていけばいいのです。あくまで目的は「子どもたちに最適な教育を提供すること」であり、繰り返すようですが、デジタルは手段の一つにすぎない。

そんな教育現場の率直な意見を知るためにも、ご紹介したように大規模なアンケートを実施したわけです。現場の声を踏まえて、関係省庁と連携しながら、子どもたち一人ひとりが広く、自由に学ぶことができる施策を進めることが肝要です。そのときにデジタルこそが、次代を担う若い世代の可能性を引き出し、教育の多様性を広げる選択肢だと信じています。

 

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