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ヤフー元社長の副知事が指摘する「コンセプトが不明瞭で曖昧な指示の発注」の罪深さ

2021年08月05日 公開

宮坂学(東京都副知事)

 

IDはデジタル時代の「地図」

――東京都と外部組織の協力については、たとえば関治之氏が代表を務めるコード・フォー・ジャパンと連携して、「東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト」を運営していますね。関氏には本誌(『Voice』2021年2月号)にもご登場いただきましたが、本サイト導入の成果と今後の課題について教えてください。

【宮坂】当サイトは今年6月13日時点で累積1億PVを超えており、多くの方に繰り返し利用いただいています。コロナ禍のなか、最新で正確な情報を国民が入手するための核となるサイトに仕上がっているのではないでしょうか。

また、本サイトのソースコードはオープンソースとして一般に公開されていますから、他の自治体が自分たちの状況に合わせて改良、運用されているとも聞いています。本サイトがこれだけ多くの方に閲覧いただいているのは、技術を重視して運用しているからでしょう。結果的に、社会への貢献度に対してかなりコストを抑えられていると認識しています。

一方で課題もあります。残念なのは、このオープンソースを利用する動きが、膝元である都庁内で十分に広がっていないこと。今後は「シン・トセイ」でも掲げているように、オープンソースの活用はさらに推進していかねばなりません。

――今年9月には、国にデジタル庁が設置される予定です。同庁や政府に対して求めることはありますか。

【宮坂】ベース・レジストリ(公的機関等で登録・公開され、さまざまな場面で参照される社会の基本データ)及びIDの仕組みを確立していただきたいですね。個人のIDについては、ご存知のようにマイナンバーカードがありますが、今年5月時点で交付率は30%にとどまります。

一方で法人のIDは、国税庁が指定する法人番号が存在するものの、すべての企業がもっているわけではありません。

国民や企業にとってIDやベース・レジストリは、デジタル時代の「地図」だといえます。街の地図がなければ目的地に着くのが難しいように、デジタル上にも地図がなければ効率の良い政策にはつながりません。

デジタル庁はまさにベース・レジストリの確立に向けた施策を担う組織だと理解していますので、東京都としてできることは何でも協力していきます。

 

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