2021年07月23日 公開
2023年07月12日 更新
38歳で大阪府知事、42歳で大阪市長に就任し、大阪府の財政再建や都構想住民投票実施など、絶対に実現不可能だと言われた難題を実行してきた橋下徹氏。
その理由を、「どんなに正解がわからない問題であっても、組織やチームが納得できる結論を導いてきたからだ」と言い、今の日本のリーダーにはそれが足りないと語る。
そんな「橋下流・意思決定術」をあますところなく解説した著書『決断力』から、今回は「決断時に絶対に守るべき"あるルール"」について紹介する。
※本稿は橋下徹 著『決断力』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
リーダーは、時間がない中での判断を迫られる場合があります。ただし、時間がないからといって締切を軽視してはダメです。どんなに緊急事態であっても期限を定め、その中で決断のきちんとプロセスを踏んでいくことが欠かせません。
たとえば、「今日中に決めなければいけない」という案件であれば、今日中と言ってもまだ何時間か残されているわけですから、その時間内で精一杯議論をした上で、決めるのです。
ここで「あと2時間しかないから、もうこちらで決める」と言って、議論を尽くさずにリーダーの一存で決めてしまうと、決まったことに対して必ず後から不満が出てきます。
2時間後に決断しなければいけないのであれば、お尻の時間を設定し「あと1時間半話し合う」と決めて、賛成派、反対派にお互いに主張をしあってもらいます。
その上で判断権者がどちらかに決めれば、「時間は短かったけれど、許された時間の中で精一杯言い合った」とメンバーに思ってもらえて、決定したことに対して、組織は納得してくれます。
新型コロナウイルスの問題で、2020年2月に安倍総理(当時)が全国一斉休校を決断したときには、大きな批判が巻き起こりました。「寝耳に水」と発言する政府メンバーや学校関係者たちもいました。
緊急事態ですから、結論を出すまでの時間は限られていました。それでも、その時間の中で、「一斉休校について意見を言ってくれ」と言って、賛成派と反対派に意見をぶつけ合わせてもらってから決定すれば、あそこまでの批判は起こらなかったと思います。
たとえ安倍総理の頭の中で「一斉休校をする」と決めていたとしても、意見をぶつけ合うプロセスを踏むべきだったと思います。一斉休校が正しいか、間違っているか、絶対的な正解は誰にもわかりません。
まさに「賛成51対・反対49」の判断で、どちらが正しいのかわからないからこそ、「総理が決めたことが正しい」とみなされる、みんなに納得されるためのプロセスを踏む必要がありました。
次のページ
どんなに時間がなくても、"オープンに議論"を交わせ >
更新:11月18日 00:05