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【日本が原発を捨てられない理由】コロナ禍で痛感した「国産」の重要性

2021年04月28日 公開
2022年12月28日 更新

石川和男(税理士/社会保障経済研究所代表)

原発

「オイルショックとマスク不足」の共通点

――現時点では、再生可能エネルギーに過度に傾斜するのは困難だとすると、当面は化石燃料を大規模に輸入せざるを得ない。しかし、石川さんのいう寒波&LNGショックによる電力逼迫は、エネルギーの原料をほぼ輸入に依存する日本の脆弱性をあらためて浮き彫りにしたともいえます。

【石川】オイルショックはすでに半世紀前の「昔話」になってしまいました。私たちは当時の教訓として、国産エネルギーを開発・導入していくべきことが日本の課題だと認識したはずです。そして輸入石油への依存度を下げようと、日本は原子力とLNGの利用を進めてきたわけです。

さらにいまでは、再生可能エネルギーの導入促進まで進めています。今回の寒波&LNGショックは、日本にとって「国産エネルギー」と位置付けるべき再生可能エネルギー並びに原子力の大切さを、あらためて認識させる契機となったのではないでしょうか。

――経済活動がいくらグローバル化しても、エネルギーの分野では「国産」の価値が依然として重要であると。

【石川】今回のコロナ禍では、エネルギーの分野だけではなく、医療分野においても「国産」の大切さが見直されたと私は考えています。日本は化石燃料と同じようにマスクも輸入に頼っていたわけで、じつに8割弱が中国からの輸入だったのです。

現在では国産メーカーが相次いで増産に乗り出したおかげでマスクの価格高騰は沈静化していますが、全身防護服や医療用ガウン、さらには人工呼吸器もほぼ輸入に頼っていたことが明らかになった。

それらの医療品を自国で賄い切れなかった現実をどう考えるかです。これは日本のエネルギー事情をめぐる議論に似ていると思います。

――ただ、いまになって不思議に思うのは、新型コロナが流行した当初、なぜ隣国である中国から多少高値であってもマスクを大量購入できなかったのか、ということです。

【石川】日本政府の調達は、後払いを原則としていたからです。とくに医療用マスクについては検収後、30日以内に支払うというルールになっていた。他方で外国は、費用をすぐに支払います。マスクを売る外国企業の立場に立てば、日本があと回しにされるのは仕方ないでしょう。

今回のパンデミックは前例にとらわれるべきでない緊急時であり、日本も外国のやり方に倣うべきでした。厳しい言い方ですが、それができなかったのは「平和ボケ」というほかありません。

――日本は国民の衛生観念が発達している一方で、新型コロナのような大規模な感染症を長らく経験してこなかったことも、逆に災いしたのかもしれません。

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