2020年10月27日 公開
2022年01月13日 更新
――新型コロナ危機に直面するなか、地方自治体の首長のリーダーシップにも注目が集まりました。橋下徹さんは以前、本誌(『Voice』2019年7月号)のインタビューで「松井さんは大きな仕事を実行する一方で、組織内の人間関係を深めることでもプロ中のプロ。実務は基本的に若手に任せ、いざとなったら責任をもって実行する」と評していました。ご自身の指導力をどう考えていますか。
【松井】 僕の役目は政策の大きな方向性を示すことです。あとはその方針に向けて、役人が詳細を詰めて実現していく。また政治家は、役人の能力を存分に発揮するための場所を構築する必要があります。
そのうえですべての結果責任をとるのが政治家であり、最後は選挙で国民が判断するのです。そうした手法で僕はいままで仕事に臨んできたし、これからも変わらないでしょう。
――橋下さんは「自分には人望がなかったけど、松井さんにはあった」とも言われていました。
【松井】 ありがたいお言葉ですが、むしろ橋下さんにはカリスマ的な魅力があるからこそ、周りが少し近寄りがたかっただけでしょう(笑)。
僕には特筆するカリスマ性がないから、逆に議員や役人との距離を比較的縮められているだけだと思いますよ。
――吉村知事はいま大阪府民から強い支持を得ています。その手腕をどう評価しますか。
【松井】 身内びいきではなく、吉村さんは本当に仕事のできる方だし、今後ますます活躍すると確信しています。いま45歳の彼は50代の我々より一世代下で、これからは「吉村世代」の時代になるでしょう。
2011年4月の統一地方選挙後、大阪維新の会が大阪府議会において過半数を確保し、市議会では第一党になりました。そのときの市議会議員1期生が吉村さんでした。
10年ほど経過したいま、当時当選した議員が府議会・市議会の中心を占めています。吉村さんは維新内部の縦のチームワークだけではなく、市議会議員時代の横のつながりも活用できる。
維新立ち上げ当初は橋下さんや僕がグイグイ引っ張る姿が目立ったかもしれませんが、吉村さんは別の手法で大阪の政治を動かしています。
――大阪都構想や大阪・関西万博を実現させたとして、その後の松井市長の目標は何でしょうか。
【松井】 人口減少・超高齢化社会においても持続可能で、なおかつ世界のなかで存在感を示せる日本をつくりたいと考えています。
だからこそ大阪をそのモデルにするべく、もちろん2023年春の市長任期までは仕事に邁進していきます。
その後に関しては「吉村世代」のメンバーに託したいと思っています。「こんな日本をつくりたい」というビジョンをブレずに実行する次代のリーダーが、一人でも多く現れることを期待しています。
更新:10月09日 00:05