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「東日本大震災を超える事態」 ホリプロ社長が語るコロナへの危機感

2020年05月18日 公開
2020年05月18日 更新

堀義貴(株式会社ホリプロ代表取締役社長)

社員とタレントの生活を何としても守る

――コロナ禍は「戦後最大の危機」といわれています。堀社長がこれまで経験した難局を振り返っても、今回は次元が異なりますか。

【堀】 そう思います。リーマン・ショックや東日本大震災のときも、エンタメ業界を含めて世界経済が大打撃を受けました。

それでも、たとえば3・11後はタレントが集まって街頭募金をしたり、東北で無料の出張ライブを行なったりと、皆さんと触れ合うことができた。

舞台の開催も採算がとれていたとはいえないけれど、家で震えていた人がそこに来れば一時でも恐怖を忘れられる場所を提供していたと思うんですね。

でもいまは人が集まってはいけないから、「生の体感」を共有することができない。「われわれの存在意義は何なんだろう」と考えています。その意味でも、今回の事態はいままでの危機とは比べものにならないですね。

――新型コロナがいつ終息するか、先行きは不透明ですが、今後の展望をどう見ていますか。

【堀】 経済が疲弊して国民の可処分所得が減ることで、どの業界もコロナ禍からV字回復するのは簡単ではないでしょう。中長期的なスパンで見れば、人口減少と少子高齢化は加速するばかりです。

もともとエンタメ業界は、国内需要が縮小するなかでいかに生き延びるか、という課題を抱えていました。当社では海外進出を進めてきましたが、国内事業の立て直しに注力しなければなりません。当面は守りに入らざるをえないでしょう。

――終息後の「次の一手」については、具体的にどうお考えですか。

【堀】 不確定要素が多すぎて現段階でははっきりといえませんが、まずは公演やイベントを正常に開催できるかですね。

感染が緩やかになったとしても、薬やワクチンがない状態では終息とはいえないし、いつまた「第二波」が来るかわからない。そうなると、中止や延期のリスクがつねに伴います。

たとえ開催できたとしても、お客さんのあいだの座席を二席ずつ空けるといった制限があれば、これまでの規模の公演では採算がとれない。

私は社長として、所属タレントと社員の人生を預かっています。この危機的状況にあっては、まずは彼ら彼女らの生活を何としても守ることを優先していきます。

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