2019年05月09日 公開
2024年12月16日 更新
©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ
2019年5月24日(金)、『沈黙の艦隊』『ジパング』などで知られる漫画界の巨匠・かわぐちかいじ氏原作の映画『空母いぶき』(監督:若松節朗氏)が公開される。
20XX年12月23日未明、沖ノ鳥島西方の島嶼に国籍不明の武装集団が上陸するところから物語は始まる。出動命令を受けた自衛隊初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」を待っていたのは、敵潜水艦からのミサイル攻撃だった――。戦後の日本が経験したことのない緊迫の24時間がスクリーンに映し出される。
本作で「いぶき」艦長の主人公・秋津竜太を演じた西島秀俊さんに、作品の見所や撮影秘話、そして俳優としての「覚悟」について聞いた。
※本稿は月刊誌『Voice』(2019年6月号)、西島秀俊氏の「国の命運を背負う覚悟を演じて」より一部抜粋・編集したものです。
聞き手:編集部(中西史也)
――『空母いぶき』は原作ファンも多い作品です。オファーを受けたときはどのような心境でしたか。
【西島】 かわぐちかいじ先生の傑作である『空母いぶき』に関われるということで、大変光栄に思いました。かわぐち先生は数々の作品を生み出していますが、実写化されたのは本作が初めてです。
鋭い洞察力で未来を予見して描かれた作品に、現実の国際情勢のほうが追いついてきている。自分にとっても出演は覚悟のいる決断でしたが、どうしても本作に携わりたいと思いました。
若松節朗監督やプロデューサーからは「これは平和のための映画なんです」ということを強くいわれました。現場で奮闘する人びとは、あくまで平和のために戦っているということを聞き、ぜひ参加したいという思いを強めました。
――本作の見所はどういった部分でしょうか。
【西島】 この作品は、航空機搭載型護衛艦「いぶき」を中心とした第五護衛隊群が国の危機的状況をいかに回避しながら乗り越えていくか、という手に汗握る物語です。
それと同時に、政治、メディア、民間人など、自衛官だけではなく、すべての人びとが日本の平和を守るために奔走する姿を描いています。
さらに、徹底した「リアリズム(写実主義)」を追求していることが特徴といえるでしょう。物語の展開を引き立てるために、誰かが失敗をして状況が悪くなるといったような、過剰な演出はありません。
本当に能力のある人たちが、国家存亡の危機に全力で立ち向かい、打破していく。そういったリアルさを楽しんでもらえればと思います。
――西島さん演じる主人公の秋津竜太(一佐)は、航空自衛隊のエースパイロットから「いぶき」艦長になり、いざというときには力を行使することも厭わないという考えの持ち主です。西島さんご自身は、秋津というキャラクターをどうご覧になっていますか。
【西島】 秋津は、困難な状況でも焦ったり悩んだりしない“怪物”のような人物です。二歩も三歩も先のことを見据えて、迅速に決断ができる。
しかし彼はいつも結論しかいわず、そこに至った理由を説明しない。そのため、「何をいっているのかわからない。なんでこの決断なんだ?」と思われ、衝突することもしばしばあります。
それでも、結果的に秋津のいうとおりに事が進んでいき、周りを納得させてしまう存在ですね。
更新:12月23日 00:05