2020年04月29日 公開
2023年01月11日 更新
こうしたなかで、武漢在住の一人の普通の市民の口から「共産党打倒」という驚きのスローガンが叫ばれた。新型肺炎拡散中の武漢市内の病院の惨状を撮影して、ネット上で流した方斌(ほうひん)という人物が公安警察に一度拘束され、のちに釈放された。
ところが2月8日、彼は再びネット上で自分の映像を公開した。そして、方氏はそのなかで何と共産党政権の非道を堂々と批判した上で、拳を上げて「共産党政権の暴政を打倒せよ!」と連呼した。
1989年の天安門事件以来、中国国内で「共産党打倒」が叫ばれたのはこれが初めてのこと。天下大乱と革命の時代の到来を予感させるような「鬨(とき)の声」が、一平民の口から発せられたのである。
中国という国がこれで「革命と大乱の時代」に一気に突入していくかどうかは、まだ確定できない。未曾有の大疫病が今後どう広がるのか、あるいはどう収拾されるかによって今後の展開は違ってくるし、中国共産党政権も当然、革命的反抗運動が起きるのを手を拱いて看過するようなことは絶対しない。
今後は、政権側の強力な取り締まりや粛清によって民衆の反抗がいつものように圧殺されていくのであろう。しかしそれは当然、民衆と政権との対立の解消を意味するものではない。
長期的な視点からすれば、圧殺はより大きな反抗を招くだけのことであって、中国共産党の独裁体制は今後、大きな不安と混乱のなかで揺らいでいくに違いない。一党独裁下の「安定」に取って代わって、造反と混乱の時代が確実にやってくる。
中国という国はこれから、まさに「乱世」を迎えようとしているのである。
経済崩壊と天下大乱のなかで数億人単位の難民が発生してしまった場合、どれほどの難民たちが海を渡って日本列島に押し寄せてくるのか。
そして天下大乱になって軍閥林立のような乱世となった場合、日本という国を軍事的冒険のターゲットにしようとする軍閥がどれほどいるか。
あるいは中国共産党政権が国内の反乱による政権の崩壊を避けるために、日本や台湾などに対して危機転嫁の対外戦争を発動してしまう危険性はない、と言えるのか。
万が一、上述のようなことが一つでも起きてしまえば、日本の安全保障と平和は直ちに脅かされ、日本という国は否応なく中国大陸の天下大乱に巻き込まれていくこととなろう。
来るべき中国の大乱は、日本を含めた周辺国にとって決して他人事ではない。われわれはたんに高みの見物のような気分で、対岸の火事を眺めるようなことはできないのである。
更新:11月24日 00:05