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新型肺炎、中国依存の韓国や北朝鮮は深刻な状況に

2020年03月26日 公開

高橋洋一(嘉悦大学教授)

検査しなければ、感染者はゼロ

北朝鮮では「感染者ゼロ」とされている。北朝鮮のことはよくわからないとはいえ、この数字はかなり怪しい。新型コロナウイルスによる感染症は、中国との往来がどのくらいあるかによって、ある程度推計できる。

日本は、中国人観光客が多く、往来が多い国だが、北朝鮮もかなりの往来があると見られる。

北朝鮮が中国との交通を遮断しているのは事実であるが、普段から中国と北朝鮮は緊密に人的交流をしているので、感染者が北朝鮮に入っていなかったとは考えにくい。北朝鮮の隣の遼寧省、吉林省、韓国にたくさん感染者がいるのに、地続きの北朝鮮がゼロということはあり得ない。

栄養事情の悪い北朝鮮では、新型肺炎の拡大は国家としての非常事態である。北朝鮮での感染者がゼロというのは、北朝鮮は検査をしていないか、検査ができないからだと思う。検査キットはほとんど持っていないかもしれない。検査しなければ、感染者数はゼロである。

日本は医学の発達した国であり、感染していない人も含めて調査が行われている。そのため、周辺国の中では感染者が多く報告されている。中国の周辺国で何人の感染者が出ているかを見ると、日本のようにきちんと調べている国は、多数の感染者数が公表されている。北朝鮮の場合は、調べていないか、公表できないのだろう。

新型肺炎の問題は北朝鮮経済に甚大な影響を及ぼす。北朝鮮は国連が経済制裁をしても、中国がこっそり助けていたとされる。中国との密輸でもっていたような国だ。その中国との交流が封鎖されてしまうと、北朝鮮はもたない。国連の経済制裁よりはるかに大きなインパクトがある。

かといって、中国と交流すれば北朝鮮にウイルスが蔓延する可能性が高い。栄養状態の悪い北朝鮮では新型肺炎での死亡率が他国より大きくなるかもしれない。北朝鮮にとっては、新型肺炎は非常に大きな問題である。

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