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「手鼻、タン吐き、立ち小便」新型コロナの土壌となった中国の衛生意識

2020年03月06日 公開
2023年04月17日 更新

高口康太(ジャーナリスト),西谷格(ノンフィクションライター)

「無人カラオケ」で習近平講話を朗読

――ポジとネガ両面の顔をもつデジタルチャイナですが、はたしてその結果、中国人は「幸福」を享受できているのでしょうか?

【高口】 まず、中国は好景気が続いたので、暮らしが良くなっていく実感はあると思います。

また、検閲が厳しく、衆人監視のもと息苦しい生活を強いられていると日本では思われがちですが、じつは99%以上の国民はほとんど意識していない。

【西谷】 ここが面白いところで、ほとんどの中国人はデジタル化によって少なくとも生活が不便になったとは思っていません。

むしろ、どんどん生活が便利になるので、個人情報を差し出す「デメリット」を感じていないようです。
【高口】 そういえば、最近面白いデジタルサービスを見つけました。中国にはすべての会社に共産党組織が存在するのですが、党員の行動を管理するソフトウェアがあるんです。

いわば、「共産党管理ソリューション」(笑)。社内の勉強会後に提出するレポートの未提出者や、党費未払い者をリスト化して管理できるそうです。

ほかにも、深センのハイテク工業団地内の書店に、「無人カラオケボックス」が置かれていました。ただ普通と違うのはカラオケを楽しむのではなく、習近平国家主席の講話を朗読するんです。

【西谷】 無人カラオケボックスで朗読って、じつにシュールですね……。

【高口】 講話を読み終わると、画面に「アップロードしますか?」と表示され、党員番号の入力を求められます。

アップロードすれば、共産党員としてどれだけまじめに勉強しているかをアピールできるというわけです。実際にどれだけ使われているかは不明ですが。

【西谷】 私たちが接する取材対象にも共産党員は少なからずいますが、ゴリゴリに統制された印象は受けません。個人情報を管理されていても、そこで暮らす人たちはそれなりに幸せを享受しているようです。

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