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イランだけでなく中国にも…予測される「アメリカの厳しい制裁」

2020年01月06日 公開
2022年10月27日 更新

渡邉哲也(経済評論家)

 

カギを握る「中国とイランの距離感」

アメリカは世界最大の穀物輸出国であるが、大部分のエネルギーを輸入していた。ところがシェール革命でエネルギーも輸出国になったことで、同国の世界戦略上、中東の存在感が著しく低下した。

ここを考慮に入れないと、世界情勢を正確に把握できない。きわめて抽象的に表現すれば「シェール革命によって地球の重心がずれた」ことを認識すべきである。

そのためイラン問題も、イラク問題の対処 とはまったく異なってくる。アメリカとしては、中東の重要性が低下するなか、陸上部隊を出してまで介入する気はない。

仮に介入するとすれば、イランの核開発拠点など、アメリカにとってリスクの高い場所を集中的に爆撃し、イランの核開発を止めるようなかたちとなるであろう。アメリカ介入後の戦後政策、復興に関しては周辺国に一任する方針であれば、一定の現実味は出てくる。

このようにアメリカは及び腰と言ってよく、金融制裁を中心にイランを締め上げ、ギブアップするのを待っていた。だが、これを妨害しているのが、イランから原油を買っている中国である。

2018年5月に核合意から離脱したことを受け、アメリカは同年11月からイラン産原油の輸入を禁じる経済制裁を発動した。

しかし、いまだに中国はイランから原油を買い続けている。これに対してアメリカは、2019年7月、輸入業を請け負っていた中国の石油商社を制裁対象とした。

報道によると、アメリカ国内にある同社の資産の凍結や、経営陣の入国拒否をするという。こうした流れのなかで今後世界の分断構造が激化した場合、イランと中国が接近する可能性は否定できない。

アメリカとしては、中国に対して実際に制裁をやるのか、やらないのか、やるとしていつやるのか、トランプ大統領のプレッシャーはより強固になるに違いない。

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