2019年12月27日 公開
2020年01月06日 更新
世界の証券取引所ランキング(2018年)を見ても、上海証取と深圳証取の両取引所とも、世界で屈指の主要取引所となっており、とくに東証と上海証取はライバル関係にあることがわかる[図]。
時価総額では、上海証取は世界第4位。米ニューヨーク、米ナスダック、東証に続く世界屈指の市場だ。世界の有力市場であるユーロネクスト、香港、ロンドンなどを上回っている。深圳証取も第8位にランクインしており、両市場ともトップ10入りしている。
両市場を合計すると、東証の約1.2倍の規模となっている。株式売買代金では、深圳証取が第3位、第4位の東証や、第5位の上海証取を大きく上回っている。
上海と深圳の2つの証券取引所は特色も機能も大きく異なる。
上海は、伝統的な国有企業など中国国内大手企業が中心だ。金融やエネルギーをはじめ、IT、化学、医薬品、不動産、機械、自動車、小売、卸、電機などの国内有力企業が上場している。上海証取も、自らを「プレミアム・ブルーチップ(超優良株)市場」と呼んで投資家にアピールしている。
他方、1978年の改革開放によって開発が始まり、いまや経済規模で香港を上回るまでに発展を遂げた深圳には、通信機器大手のファーウェイ(華為)、メッセージアプリ(微信)やモバイル決済の巨人となったテンセント(騰訊)、ドローン大手のDJIなど、非伝統的な有力新興企業が数多く存在する。
加工貿易時代に集積した水平的・垂直的サプライチェーンが産業基盤となり、「紅いシリコンバレー」と呼ばれ、中国全土から優秀な若手技術者が集積する中国のイノベーションの中心地である。そのスピード感はシリコンバレーをも凌ぐといわれている。
こうした背景をもつ深圳証取は、メインボードしかない上海証取とは異なり、中小企業向け市場の「中小企業板」や新興企業向けの「創業板」を設置し、新産業分野の成長企業の上場を推進している。2017年には上場企業数が2000社を超え、上海証取を大きく上回っている。
更新:11月24日 00:05