2019年12月27日 公開
2020年01月06日 更新
2016年に世界最大となった中国の銀行市場。シャドーバンキングの資産規模は約900兆円、超富裕層の資産は2300兆円は日本の約1.3倍。
個人間決済ではフィンテックの一大先進国に成長し、膨大な人口を背景とした巨大市場を世界各国の金融機関も虎視眈々と狙っている。急成長を遂げる中国の巨大金融市場と日本はいかに付き合うべきか。
金融庁総合政策局総務課長で中国カントリーディレクターの柴田聡氏は、著書『中国金融の実力と日本の戦略』にて、中国金融を把握するためには「リスクも正しく認識する必要がある」と述べている。ここでは同書より、日中両国の金融市場の今後に触れた一節を紹介する。
※本稿は柴田聡著『中国金融の実力と日本の戦略』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです
共産主義の中国には、市場経済の象徴ともいえる株式市場は存在しなかった。中国初の証券取引所である上海証券取引所(以下「上海証取」)が開設されたのは、日本がバブル経済のピークを迎えていた1990年。
翌1991年に深圳証券取引所(以下「深圳証取」)が開設された。明治11年(1878年)に東京証券取引所(設立時は東京株式取引所、以下「東証」)と大阪取引所が設置され、2018年に140周年を迎えた日本とは対照的に、30年にも満たない歴史しかない若い市場だ。
中国の株式市場は、中国経済の高成長とともに凄まじい勢いで急成長した。開設当初の上海証取の上場企業数はわずか8社、時価総額は29億元(約484億円)にすぎなかったが、2017年末には、上場企業数1396社、時価総額は5.1兆ドル(564兆円)に達した。単純計算だが、上海証取の時価総額は1万倍以上になった格好だ。
2015年のチャイナショック前には、中国の株式時価総額(上海証取と深圳証取の合計)は10兆ドル(約1100兆円)を超え、日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位の株式市場となった。
ただし2018年夏には、中国の株価下落によって時価総額は約6兆ドル(約660兆円)まで減少し、再び日本の時価総額が中国を上回った。このように、株式市場の規模については、日本と中国が世界の2番手としてライバル関係になっている。
更新:11月21日 00:05