2019年12月23日 公開
2023年02月01日 更新
ジョンソン首相は、離脱実現で英経済を復活させる狙いだが、英国立経済社会研究所によると、離脱後10年で残留に比べて国内総生産(GDP)を3.5%押し下げる。このため、EUと現状維持に近いFTAを結び、緊密な通商関係の維持に努める。
しかし、EUとのFTAだけでは不十分である。EU離脱のマイナスを補うためにも、英連邦ネットワークや高度な教育を活用してEU以外との経済連携が必要になる。
そこで英国は、EUとの交渉と並行して第一優先として日本、米国、ニュージーランド、オーストラリアともFTA交渉を始める。また、環太平洋連携協定(TPP)への参加も模索する。
とくに日本をアジアで、ブレグジット後の英国を救うパートナー(英テレグラフ紙)と位置づけ、EUとのEPAを手本に日英EPAの2021年1月発効をめざして交渉を進める。
さらにインド太平洋の安定のため、英国は最新空母「クイーン・エリザベス」をアジア地域に展開させる方針を決めている。
また、航空自衛隊のF2の後継次期戦闘機計画を巡って、自国軍向けの開発計画を進める英国が日本に共同開発の協力を要請しており、安全保障面での関係強化も検討されている。
英国は、欧州一の軍事力をもったインテリジェンス大国でもある。安倍首相も、保守党勝利を受けて、「アジアと欧州における最も緊密なパートナーとして『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、引き続き緊密に協力し、世界の平和と繁栄に貢献していく」と述べた。
『イギリスの失敗』(PHP新書)にも詳述したが、人権、民主主義、自由貿易のグローバルな普遍的価値を共有する日英がかつての「同盟」を復活して、不安定化する東アジアの安全保障の崩壊を防ぐことを望む。
更新:11月25日 00:05