この図表は、相対的貧困率の推移を表したグラフである。日本の相対的貧困率は、1985年の12%から一貫して上昇を続け、2012年が最悪で
16.3%であったが、これが2015年には15.6%にまで減少している。なお、「相対的貧困率」とは等価可処分所得の中央値の半分以下の所得層の比率を表している。
現役世代(18~64歳)の相対的貧困率も、そのトレンドは全世帯のものとほとんど同じで、1985年の10.6%から上昇を続け、2012年の14.5%がピークであった。だがその後、雇用情勢と所得の改善で、2015年には13.6%にまで減少している。
全世帯より現役世代の改善幅が大きいのは、高齢者ではなく現役世代が雇用情勢の影響を大きく受けるからである。
また、17歳以下の相対的貧困率(いわゆる「子供の貧困率」)も1985年の10.9%から上昇を続け、2012年に16.1%でピークを付けたが、2015年は13 .9%へと、じつに2.3%も低下している。当然のことであるが、「子供の貧困率」は現役世代の所得に大きく依存する。
相対的貧困率では、つねに一人親世帯の貧困が問題になる。シングル・マザー問題である。子供がいる一人親世帯の相対的貧困率はきわめて高く、
50%を超えている(図表のなかで、この指標だけ右軸の目
盛である点に注意)。しかしこの指標も、2012年の54.6%から2015年には50.8%にまで低下している。
安倍政権の経済政策、「アベノミクス」の下での雇用の増加が、格差の縮小と貧困率の低下に寄与していることは明白である。市井の人びと、とりわけ貧しい人びとは、日々雇用の問題に直面しているのだから、このことを皮膚感覚で理解している。
私は、これこそが自民党・安倍政権が選挙に強い理由だと考えている。
更新:11月21日 00:05