2019年08月28日 公開
2024年12月16日 更新
著書『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)がベストセラーとなり、注目を集めている世界的投資家、ジム・ロジャーズ氏。2018年末に「日本株をすべて売った」と言う氏が憂う日本の未来とは。
著書『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)の中で、私は「次に起こる世界的な経済危機は、私の人生最悪のものになるだろう」と書いた。
2008年に、我々はリーマンショック、世界金融危機という大きな問題を迎えた。それに比べて今は、世界的に債務がはるかに高い。そして世界中で同じような状況であり、誰も手を打とうとしない。であるならば、当たり前として大きな危機が起きるというのは自明のことなのだ。
我々の歴史を振り返っても、数年おきに危機が訪れるものだ。そうした周期が回ってくるのは避けられない事実だ。だいたい危機というのは、穏やかに、密かにやってくるものである。誰も見ていないうちに、2007年、アイスランドは崩壊した。その数カ月後にアイルランドが同じようなことになった。そしてノーザン・ロックというイギリスの最大の銀行も倒産した。
この一連の流れで、ついにリーマン・ブラザーズが倒産した。この時点で、みんな「どうやら大変なことが起きている」ということに初めて気づいたのだ。
だから、危機のパターンというのは、誰も見ていないところで密かに起きて、だんだん雪だるま式に大きくなって、みんながやがて気づくという流れになる。現在、バルト三国では、ラトビアが大きな債務危機を抱えている。
ほとんどの人は、ラトビアの正確な位置すら知らないだろう。アルゼンチン、ベネズエラ、トルコも、もうすでに問題を抱えている。まだそこまで注目されていないだけだ。
だから、おそらく今年の終わり、あるいは来年あたりに、NHKで大きくニュースで経済危機という話が取り上げられるようになるのではないか。
経済危機はもうすでに始まっている。始まっているのは間違いない。多くの人、多くの国は、そうした債務関係の問題を抱えているからだ。
もしかしたら経済危機の前に一度、上げ底になる可能性はある。中国・アメリカ関係に朗報があれば、あるいは北朝鮮関連で良いニュースがあれば、経済は少し上向くかもしれない。しかし、そこから間違いなく危機に向かっていくだろう。
更新:12月27日 00:05