<<米トランプ大統領が「安保条約の破棄を示唆」とのニュースが突如として駆け抜け、日本国民に衝撃を与えた。北村淳氏は近著『シミュレーション日本降伏』にて、海洋進出を加速させる中国が魚釣島に侵攻した場合を想定したシミュレーションを展開しつつ、日本と中国両国の詳細な戦力比較を行っている。
そのなかで地上から敵軍の艦艇を攻撃するミサイル「地対艦ミサイル」について、中国が「地対艦ミサイル大国」で対する日本は「地対艦ミサイル先進国」だと述べている。本稿では同書より日本の現状を解説した一節を紹介する。>>
※本稿は北村淳著『シミュレーション日本降伏 中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
地対艦ミサイルを語る際にきわめて興味深いのは、アメリカ軍の現状である。
トランプ政権が誕生するまでオバマ政権下で国防予算が大幅に削減されたため、戦力低下に喘あえいでいるとはいっても、依然としてアメリカ軍はありとあらゆる兵器システムを取り揃えている世界最大規模の軍隊だ。
しかしながら、そのようなアメリカ軍といえども地対艦ミサイルシステ
ムを保有してこなかった。両隣がカナダとメキシコに挟まれているアメリカ本土(ハワイ州とアラスカ州を除いた四八州とワシントンDC)は、太平洋と大西洋という広大な海洋でアジア大陸やヨーロッパ大陸と隔てられている。
そのため現在、アメリカ国防当局は自国の海岸線沿岸域での防衛はほとんど考えていない。もちろん本土決戦などまったく想定していない。
要するに、沿岸海域での迎撃戦に威力を発揮する地対艦ミサイル部隊を運用する必要性を認めていなかったのである。
したがって、アメリカ軍需産業も、地対艦ミサイルシステムには関心を示さず製造してもこなかった(ただし、対中軍事戦略の転換に伴って状況は変わりつつある)。
もっとも、地対艦ミサイルシステムはアメリカに限らず、さほど多くの国々で開発製造されているわけではないため、現存する地対艦ミサイルの多くは、軍艦に装備される対艦ミサイルのバリエーションとして副次的に生み出されている場合が多い。
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障害物を避けながら飛翔する日本の高性能「地対艦ミサイル」 >
更新:12月27日 00:05