2019年07月09日 公開
2022年07月08日 更新
いまのところ、トランプ再選に有利な条件が4つ揃っている。第1は景気が堅調なことであり、第2は失業率が低いことである。第3に、目下アメリカは大規模な戦争をしていない。
そして、第4は民主党の混迷である。一部の有力者たちが選挙を牛耳らないように党則を改めたこともあり、すでに民主党からは20人を超える人びとが次期大統領選挙に出馬を表明している。
乱立が続くと、ベテランの選挙参謀の奪い合いとなり、寄付金も分散してしまう。だから、テレビ討論会で早い段階から候補者の絞り込みに入ったのである。
それでも、ジョー・バイデン前副大統領の人気が図抜けて高い。上院議員を6期36年務め司法委員長や外交委員長を歴任した上、バラク・オバマ政権で副大統領を2期8年務めたベテラン政治家である。経歴としては申し分ない。
しかも、バランスのとれた党内穏健中道派である。バイデンは地元デラウェア大学を経てシラキュース大学ロースクールに学んでおり、アイビー・リーグ出身のオバマやヒラリーほど、エリート臭くもない。
ペンシルベニア、ミシガン、オハイオといったラストベルト(さびついた工業地帯)の労働者層にも、彼らよりは受けがいい。トランプもバイデンを警戒しており、得意のツイッターなどで「低脳」「寝ぼすけ」と下品な攻撃を繰り返している。
また、「バイデンは第二のモンデール」と、ウォルター・モンデールとバイデンを重ね合わせる批判も、トランプ陣営は展開している。モンデールは民主党のジミー・カーター政権で副大統領を務め、1984年の大統領選挙で現職のロナルド・レーガンに惨敗した人物である。
ただし、バイデンにもいくつかの弱点がある。まず、76歳という年齢である。史上最高齢で大統領になったトランプが現在73歳だから、バイデンはそのトランプより3歳年上である。
もしバイデンが当選しても、一期限りの大統領になる可能性が高い。だから、バイデンの下で副大統領候補になるのが本心で、多くの者が大統領候補に名乗りを上げているのかもしれない。
また、先述のように、バイデンは庶民性をもっているが、それでもワシントン・インサイダーであることは間違いない。
イギリスの『エコノミスト』誌の表現を借りれば、バイデンは毎年ダボス会議(世界経済フォーラム)に参集するようなグローバル・エリートの常連、「ダボス・パーティー」の一員なのである。トランプはこの点を厳しく攻撃してこよう。
更新:11月22日 00:05