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橋下徹 「丸山穂高氏は“行動目標”を認識できていなかった」

2019年06月10日 公開
2024年12月16日 更新

橋下徹(元大阪府知事/弁護士)

橋下徹聞き手:編集部(中西史也) 写真:大坊崇

38歳で大阪府知事に就任し、数々の改革を成し遂げてきた橋下徹氏。大阪府庁1万人・大阪市役所3万8000人の職員、組織、そして国をも動かして結果を出してきた秘訣とは何か。大阪市長の松井一郎氏、大阪府知事の吉村洋文氏それぞれの「実行力」、丸山穂高氏と上西小百合氏に欠けていたものについても語る。

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年7月号)橋下徹氏の「大阪の改革から『実行力』を学べ」より一部抜粋・編集したものです。

 

「行動目標」が組織を動かす

――新著『実行力』(PHP新書)では、大阪府知事・大阪市長として合わせて4万8000人の組織を動かしてきた橋下さんのマネジメント術が書かれています。組織運営において最も重要なことは何でしょうか。

【橋下】 組織を強くするには、メンバー全員が一致団結して動く原動力となる「行動目標」が必要です。

これは、商品やサービスを提供して売り上げをいくらにするといったたんなる数値目標とは異なります。メンバーの気持ちを熱くさせる目標です。僕は政治家時代、大阪維新の会の行動目標を大阪都構想に定めました。

僕が知事になる前の大阪は、大阪府知事と大阪市長の二人のリーダーが主導権争いをして、統合的なリーダーシップを発揮できていなかった。

都知事一人と一つの都庁が東京全体を統括している東京都のように、大阪府庁と大阪市役所一つにまとめ、大阪全体が一体となって政策を実行できる仕組みに変える組織再編プランが大阪都構想です。

そして組織のメンバーを動かすには、小さな目標では皆が熱くならないし、あまりに目標が大きすぎると「そんなの無理無理」となってしまう。

ハードルは高いけれど、その実現によって大阪の発展につながるんじゃないかと希望をもつことができ、その実現のためには具体的な行動を取り続けなければならない。

口だけではダメで、そこに参加することに熱くなれる。そんな行動目標が大阪都構想でした。

都構想は大阪府・大阪市の課題を解決するための戦略目標であると同時に、維新の会という組織に行動するエネルギーを吹き込んでくれる行動目標としての意味ももっていたのです。

現在の維新は、松井一郎さん(大阪維新の会・日本維新の会代表、大阪市長)と吉村洋文さん(大阪維新の会政調会長・大阪府知事)を中心に、都構想という目標に向かって一致団結して行動しています。

今年4月の大阪府議会議員・市議会議員選挙では、大阪市内の維新の新人候補が選挙活動中に、自分の名前ではなく大阪市長選を戦う松井さんの名前を出して、「松井さんが当選しないと、大阪都構想が終わってしまいます」と演説していた。

自らの当選以上に大阪都構想の実現に重きを置く彼ら彼女らの姿を見て、維新の行動目標として都構想がしっかりとメンバーに共有されていることを実感しました。

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