2019年06月26日 公開
2020年07月21日 更新
人口が減っている日本では、国内だけでビジネスを回そうとしても限界があることは明白です。
ただ、シリコンバレーの特徴である3点(「スピード」「資金力」「真似力」)を満たした場所を日本につくるのは、これまでの日本企業の行動慣習からいって、容易ではないでしょう。
そこで発想を変えて、シリコンバレーを日本人がどう利用し、日本企業のビジネスを優位に進めるか、という視点から話を進めたいと思います。
日本からシリコンバレーにきて、2~3年滞在する駐在員に会う機会があります。そんな彼らからよく聞く悩みは、ある程度共通しています。(直接上司にいえないでしょうから)私が彼らの声を代弁したいと思います。
・意思決定はすべて日本なので時間がかかり、結局ビジネスに出遅れる。
・アメリカにいても日本の仕事のやり方を強要される。
・アメリカの現地社員は残業をしないし、よく怠けるのに、それを知らない日本から厳しい期限の要求がくる。結局、自分が残業して終わらせる羽目になる。
・お金になるビジネスではなく、差別化ばかり求めてくる(真似力の欠如)。
・たまにしかシリコンバレーにこない日本企業の管理者が偉そうにアメリカ企業を訪問するが、ビジネス上の契約を交わすこともなく、ただの見学で終わる。そのため、迷惑がられている。
・駐在員のコストが高いという理由で、シリコンバレーのビジネスがわかってきた3年目くらいで、無理やり帰国させられる。
こんな声があちこちから聞かれます。駐在員としてシリコンバレーでせっかくよい投資先を見つけても、「条件」を満たしていないという理由で、動けないケースも多いようです。
従業員数や売上、他の会社と差別化できているかといった多くの条件を設定し、合致する案件が出てくるのを待っていたら、いつまでも投資はできません。
どんなに優秀な駐在員をシリコンバレーに送ろうが、現地で外資系のコンサルタントを雇おうが、日本の大企業にありがちなスピード感のない意思決定では、それらのコストは無駄に終わるだけでしょう。
「駐在員にコストをかけているのに、何も新しいサービスが生まれないじゃないか」といった恨み節もたまに聞こえてきますが、現地の声をスピーディーに反映する態勢をつくらないかぎり、日本企業がシリコンバレーを利用して世界のビジネスに追いつくことはできません。
更新:12月04日 00:05