2019年05月27日 公開
2022年09月15日 更新
【中田】 現在も銚子電鉄の経営は苦しいのですよね。
【竹本】 想定外だったのが、2011年の東日本大震災。私は当時、社外取締役に就任していたのですが、安定しかけていた経営が一気に傾きました。震災後は車内に閑古鳥が鳴き、空気を運ぶために列車を動かすような日々。一時期は会社の預金残高が50万円になり、もはや独身のサラリーマンのような数字だと悲嘆に暮れました。
【中田】 震災の影響が直撃してしまったのですね……。
【竹本】 そうしてガタガタになった経営を立て直すべく、私は2012年に社長に就任しました。以降、鉄道事業の改善に努めるとともに、「お化け屋敷電車」などのイベントや「まずい棒」の開発・販売を始めとした副業にも力を入れて糊口を凌いできました。
しかし、2020年以降には変電所の改修に多額の費用がかかり、二編成の車両検査もある。地域の足、観光のシンボルとして新時代も生き残るためにも、いまこの瞬間もいかに資金を繋ぐか脳漿を絞っている最中です。
【中田】 すでに具体的に動かしているプロジェクトはあるのでしょうか?
【竹本】 じつは、映画を製作しているんです。
【中田】 映画ですか? また予想の斜め上の回答がきましたね(笑)。どんな内容なのでしょうか。
【竹本】 タイトルは、「電車を止めるな! ~呪いの6.4km」(原作本は寺井広樹著、PHP文芸文庫より)。8月公開で、われわれは「超C(銚子)級映画」と謳っております。
【中田】 察するに、昨年に大ヒットした映画「カメラを止めるな!」に触発されたのですね(笑)。
【竹本】 はい(笑)。心霊電車というイベント列車の乗客がさまざまな体験をしてパニックになりながら、実際の怪談を交えつつ、虚実混ざり合う内容になる予定です。
【中田】 経営状況はシリアスなのに、経営陣はいい意味で「ふざけている」。このバランスが絶妙で、否が応でも銚子電鉄の未来に注目してしまいます。
【竹本】 世界一のエンタメ鉄道をめざす。そんな突拍子もないことを本気で考えているんです。エンタメというと「娯楽」と訳されるのが主ですが、じつは「おもてなし」という意味もあるんです。私は銚子電鉄にかかわるすべての方をもてなしたいし、そのためには皆さんが楽しい気持ちになれる企画をやりたい。そうして銚子電鉄に乗る方が増えれば、地元の経済の活性化になるし、私どもは「地域の足」であり続けられる。地域貢献こそがローカル鉄道の使命であり、今回の映画もその一環として捉えていただければ幸いです。
どうでしょう。今回のご縁をきっかけに、中田さんにも映画にご出演いただければと思うのですが。
【中田】 えっ? 竹本さん、コラボレーションのお話、本気ですか?(笑)
【竹本】 もちろんです。ここは乗りかかった「電車」ということで(笑)、中田さんもぜひともご協力ください。
【中田】 ……わかりました! 今日のお話を聞いて、銚子電鉄さんの取り組みにとても関心を抱きましたし、何よりも竹本さんの人柄に惹かれました。銚子電鉄が愛されているのは、竹本さんが愛されているからだと感じたほどです。僕も本気で取り組みます。必ず映画をヒットさせましょう!
【竹本】 ぜひ、宜しくお願いいたします!
廃線寸前の鉄道会社が企画した起死回生の「心霊電車」企画。カメラを前に社員全員で必死に心霊現象を演出するが、視聴者から厳しい書き込みで炎上していた。
しかし、丑三つ時に本物の霊現象が起こり始める。電車は止まることなく走り続け、終着駅まであとわずか……参加者、そして銚子電鉄の運命は?
銚子電鉄では、映画「電車を止めるな!」制作のためにクラウドファンディングを実施中です。
更新:11月22日 00:05