2019年05月22日 公開
2022年09月15日 更新
【中田】 竹本さんは、いつから銚子電鉄で働かれているのでしょうか。
【竹本】 私はもともと税理士で、銚子電鉄にきたのは2005年のことです。昔からお世話になっている方が銚子電鉄の顧問弁護士で、「竹本さん、潰れそうになっている鉄道会社があるけれど、どうにかできないかね」と声をかけられたのです。そこで税理士として銚子電鉄にきたら、会社は為す術がない「火の車」でした。
【中田】 竹本さんがきたときには、すでに破産寸前にまで追い込まれていたのですね。
【竹本】 じつは、その前年(2004年)に当時の社長が業務上横領で逮捕されたのですが、銚子電鉄には1億円の借金が残されました。加えて、こうした不祥事が起きたために銚子市からの補助金も打ち切られた。私が経営に加わった時点では、銚子電鉄は「電車」屋なのに「自転車」操業の毎日を過ごしていました。
【中田】 トークお上手ですね(笑)。内容は笑い話ではありませんが……。そこから、どうやって巻き返したのでしょうか。
【竹本】 銚子電鉄は1995年から「ぬれ煎餅」という商品を開発・発売していました。銚子を代表する企業であるヤマサ醤油さんの醤油につけこんだ、しっとりとした煎餅です。鉄道部門は採算がとれない「パンク」状態だったので、「ならば」とその副業に着眼したのです。
【中田】 非常に興味深い話です。劇的な改善を見込みにくい本業の鉄道事業ではなくて、昔から副業として販売していた「ぬれ煎餅」に目を付けた。そんな竹本さんの判断が、銚子電鉄にイノベーションを生んだのだと思います。鉄道会社は基本的に乗車賃などの鉄道サービスでお金を稼ぐのが本流ですよね。竹本さんはそんな常識に囚われなかった。共感を覚えるマインドです。
じつはお笑い芸人に目を向けても、みんなライブをやるのですが、物販に力を入れている人は意外と少ない。そこで僕は物販の可能性に着目して、ファッションブランドまで立ち上げました。ただ、その数年前に竹本さんはすでに同じことを実践されていた。僕は銚子電鉄さんの後ろを追いかけて走る車両のようなものでしょう。
【竹本】 ならば、そのまま私どもの車両と連結していただくのはいかがでしょう(笑)。銚子電鉄と中田さんと何がしかのコラボレーションできれば話題になるでしょうし、中田さんの仕事哲学に感銘を受ける私としてはとても嬉しい話です。
【中田】 とても光栄なお話ですので、前向きに考えさせていただきます(笑)。
廃線寸前の鉄道会社が企画した起死回生の「心霊電車」企画。カメラを前に社員全員で必死に心霊現象を演出するが、視聴者から厳しい書き込みで炎上していた。
しかし、丑三つ時に本物の霊現象が起こり始める。電車は止まることなく走り続け、終着駅まであとわずか……参加者、そして銚子電鉄の運命は?
銚子電鉄では、映画「電車を止めるな!」制作のためにクラウドファンディングを実施中です。
更新:11月22日 00:05