2019年05月10日 公開
2019年08月05日 更新
――維新が大阪市議会選でも「大勝」を収めたとはいえ、大阪都構想の住民投票の再実施には、府議会と市議会ともに過半数の賛成を確保する必要があります。維新は、キャスティングボートを握る公明党の協力を得られるでしょうか。
【辛坊】 公明党はどこかで妥協し、大阪都構想の住民投票に乗ってくると思います。意思決定権限をもった公明党の中央が、維新との選挙協力を理由に、同党の大阪府連を抑え込むからです。
大阪都構想は大阪市を「解体」する政策ですから、維新以外の大阪市議会議員は反対に決まっています。しかし公明党の中央としては、大阪で4つ、兵庫県で2つの小選挙区は落としたくない。
公明党にとって衆議院議員の数は、自公連立政権のなかで一定の存在感を示すために必要不可欠です。
私は年内の衆参ダブル選挙はないと踏んでおり、おそらく公明党も同じ見立てでしょうが、衆議院議員の任期が満了する今後2年半以内に必ずどこかで衆院選は行なわれます。
関西の有力な小選挙区で維新と対立したくない公明党は、衆院選の日程が見えてきた段階で、維新が候補者を公明党とぶつけない代わりに、公明党が大阪都構想の住民投票実施に賛成する、という合意を結ぶでしょう。
公明党の大阪市議は乗りたくない交渉ですが、党中央の決定には抗えません。衆院選が近くなってきたタイミングで公明党は折れ、大阪都構想の住民投票までは実現します。
その駆け引きの際に、維新は最強のトランプカード(切り札)をちらつかせるでしょう。「公明さん、住民投票に賛成してくれなければ、衆院選の関西小選挙区で対立候補を立てちゃいますよ。橋下徹とか」と。
――ここで橋下氏が出てくるのですね。
【辛坊】 もちろん、橋下氏自身は否定するでしょうが、彼はどこかで必ず「再登板」します。近いタイミングで可能性があるのは先ほど述べた、大阪都構想の住民投票について公明党が譲歩しなかった場合に、関西の有力な小選挙区で衆議院議員として。
そうならなければ、次の橋下氏擁立のチャンスは、安倍政権および自民党政権が崩壊に陥ったときです。アベノミクスは現在うまくいっていると思いますが、永遠にお金を刷り続けるわけにはいかないので、どこかで政策の転換を迫られます。そのときに何らかの破綻が起きないとはいえない。
もともと維新は、使うお金はどこかから調達してこないといけない、という身の丈に合った金融政策を根本思想としてもっています。
いまの国政政党・日本維新の会で与党を取りにいくことは難しいため、自民党内が割れて大きな政界再編が起きたときに、橋下氏をトップに据えた集団が天下を狙いにいくのだと思います。
彼がめざすのは一介の国会議員ではなく、総理です。橋下氏が担がれるのは日本が危機に瀕しているときですから、そうならないことを私は祈っていますが、状況が整えば彼は出馬します。こういうと、本人から「営業妨害だ」と間違いなくクレームがくるでしょうが(笑)。
更新:11月24日 00:05