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日本は移民を受け入れるべきか?ポール・クルーグマン氏の経済成長論

2019年01月16日 公開
2024年12月16日 更新

ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授),大野和基〔取材・構成〕

ポール・クルーグマン

「消費増税は景気回復を妨げる ポール・クルーグマン氏が語る日本経済の未来」に引き続き、世界的経済学者のポール・クルーグマン氏が、米中貿易戦争の行く末、移民をめぐる日本の経済成長論を説く。

※本稿は『Voice』2019年2月号、ポール・クルーグマン氏の「消費増税は景気回復を妨げる」を一部抜粋、編集したものです。

 

中国企業への制裁手段は正当化される

――先端技術の中国への流出に、アメリカは神経を尖らせています。日本も同盟国として、アメリカの意向に従うことが求められていますが、どう考えますか。

【クルーグマン】 ここには3つのレベルがあります。

1つ目のレベルは、中国から輸入されたエレクトロニクスにはスパイウェアがはめ込まれていることです。これはまったく受け入れることができませんから、強硬手段を取るべきです。

実際のところ、中国の通信企業である中興通訊(ZTE)の制裁を解除したのはトランプですが、その後、取られている強硬手段は正当化されます。

次のレベルは、知的所有権と強制技術移転です。これも現実的なイシュー(課題)であり、アメリカは取り締まるべきです。他の先進国と協力してやるべきですし、日本もアメリカと協力すべきです。ヨーロッパも同様です。

3つ目のレベルは、このまま中国が先端技術を取り入れ続ければ、世界最大の経済大国になり、スーパーパワー(超大国)になってしまうことです。

ただ、それをわれわれが止めようとするのは、正しいやり方ではありません。もちろん、彼らがテクノロジーを盗もうとするのはよくない行為です。

しかし、われわれに挑戦してくるかもしれない国の経済成長を意図的に妨げようとするレジーム(政治体制)に切り替えると、長期的にアメリカが象徴してきたすべてのことを裏切ることになる。アメリカは、他国の経済発展をブロックするようなことをしてはなりません。

――政府が中国製のスマートフォン使用を禁止することには賛成ですか、反対ですか。

【クルーグマン】 セキュリティについていうと、かなりひどい状態です。実際、習近平は私に関するすべてのことを知っているでしょう。

――盗聴されているかもしれないということですか。

【クルーグマン】 最近はおそらく複数の人に盗聴されていると思います。中国人、ロシア人……そしてたんに私にモノを売りたい、いろいろなテック(デジタル・テクノロジー)会社にも盗聴されているでしょう。

――それは教授が有名だからではないですか。

【クルーグマン】 有名でなくても、盗聴される場合もあります。その点、私の生活(人生)が退屈であることは良いことです。私が誰かに脅迫されるようなことは少しもないと思いますね(笑)。

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