<<2018年12月25日、「クリスマス暴落」が株式市場を襲った。1年3カ月ぶりに日経平均が1,000円超も急落したのだ。株価は一時2万円台を割り込み、各紙は「世界経済減速の懸念」と報じた。
世界3大投資家の1人として知られるジムロジャーズは、驚くことに2018年夏の時点で今回の事態を「予見」していた。2019年1月17日に刊行される新著『お金の流れで読む 日本と世界の未来』の中で、アメリカ発の経済危機が近いうちに起きるだろう、と断言しているのだ。その真意やいかに――。>>
※本稿は『お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(ジムロジャーズ著、大野和基訳 PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
私は、ジョージ・ソロスと「クォンタム・ファンド」を立ち上げる以前に、イェール大学とオックスフォード大学で歴史学を修めた。歴史は、さまざまなことを教えてくれる。
たとえば、「4~8年の周期で大きな経済問題が起きる」ということもその1つだ。
今後1~2年のうちに、私が生きてきた中で最悪の経済危機が起きると予想している。なぜなら、世界中の負債額が史上最悪の数字を記録しているからだ。これで米中貿易戦争も絡んだら、とんでもない大惨事になる。
国際金融協会(IIF)によると、政府、企業、家計、金融機関を合わせた世界の債務残高は2018年3月末の時点で247兆ドル(約2京7000兆円)。10年前の2008年末と比べると、約43%、75兆ドルも増加している。
その一方で世界の国内総生産(GDP)の合計額は37%、24兆ドル増加にとどまっている。GDP比で見た債務規模は2.9倍から3.2倍に拡大しており、稼ぎに見合わない借金を抱える構図は、リーマンショック当時と変わらないどころか、悪化している。
2008年にアメリカでリーマンショックが起きて以来、世界中の国で債務が膨らむようになってしまった。10年前はほとんど借金がなかった中国でさえも、いまは多大な債務を抱えている。
アメリカの中央銀行も、そのバランスシートはたったの10年で500%も膨れ上がっている。500%とは、実に驚異的な上昇率だ。何十年という歳月を経て500%上昇した、と言われても信じがたいというのに、それがたったの10年という短期間でそこまで上昇してしまうとは、まったく理解の範疇を超えている。
更新:12月28日 00:05